
サッカー日本代表の森保一監督(56)が16日、東京・内幸町の日本記者クラブで会見した。10日に2026年FIFAワールドカップ(W杯)北中米大会アジア最終予選を終え、感じた手応えや課題、来夏の史上初3カ国大会に向けたチームづくりについて語った。
3試合を残しての突破は史上最速。このことには「自信と誇りにはしたいと思いますが」とした上で「世界に勝っていく保証にはならない」と強調。「それを肝に銘じて、新たな積み上げをしていく。W杯優勝、世界一を我々は目標にしています。自分たちが今、発揮できる能力、個もチーム力も、さらにパワーアップしてW杯を迎えられるよう1試合1試合、毎回毎回、成長しながら向かいたいなと。チャレンジすることを忘れずに前進していきたいなと思っています」と話した。
世界一については「まだまだ本命国として舞台に立てないことは、正直、ありますが、世界のトップトップと力を見比べた時に、まだまだ差はあると思いますけど、選手たちの持っている力や、これからの成長、個々を生かしながらも組織力を持って、和を持って日本代表として戦えば、実現可能な目標だと思っています。世界一をしっかり視野に入れて、準備して、W杯に挑めるようにしたいと思っています」とした。
続けて、切り出した。
「なぜ私がW杯優勝、世界一を目指すのか。理由は大きく2つあります。お話しさせてもらってもよろしいですか?」と言い、次の通り説明した。
(1)「1つ目は前回の(22年W杯)カタール退会を経験して、ベスト16(決勝トーナメント1回戦)でクロアチアと戦い、延長、PK戦の末、我々は大会を去らなければいけない結果になりました。それを受けて、試合が終わった時、選手たちの表情を見た時に、戦いを振り返った時に、もう1歩上に、まだまだいけたなという思いがありました」
「選手たちが悔しがる表情が『力を出し尽くしたから、善戦したから(満足)』という顔ではなく『勝てたのに勝てなかった』という悔しさがにじみ出ていたんです。監督としても、さらにもう1歩上に行けたなと。今回、W杯北中米大会に向けて2期目の監督になった中で、現実は(初の)ベスト8にたどり着くという目標は忘れてはいけないと思っていますが、世界一も、現実的な気持ちとして持って、実現可能な目標としてやった方がいいなと。それで世界一と、皆さんにもお伝えしています」
(2)「もう1つが1期目の監督になった時、JFA(日本サッカー協会)の仕事に就いた時に『2005年宣言』について考えました。当時の川淵三郎会長が『2050年までにW杯で優勝』という宣言をされたものです。私も、どの立場で仕事していても、日本がW杯で優勝するために、今の自分がやれることを精いっぱいやっていき、優勝に向けて貢献していくことを、自分がやっていかなければいけない。監督としても2050年までに、短期的に、自分が監督をしている時に、最善を尽くす、全力を尽くす。もしそうでなかったとしても、未来の日本代表が優勝を目指すことに何かつながる。今の日本代表の勝利、発展につなげられることをやっていきたい」
「2050年までに、ではなく、年号は取っ払って世界一に向けてやっていく中で、日々の積み上げをしながら1回1回、成果と課題を振り返り、未来に向けて改善していくことを、積み上げてやっていきたい。組織としても、チームだけではなく、支えてくださっている方々にも世界一を意識していただいて、それぞれの立場から何ができるか考えていただく。それが、より世界一に向けて確率を上げられること。自分ごととして思ってもらえるように、話をさせていただいています。この2つが大きな理由です」
「いろいろなスポーツ、分野で世界一になられたことはあるかと思いますが、その方々をリスペクトしつつ、サッカーでも世界一になって国に貢献したい思いがあります。いち競技団体として、W杯で優勝して国民の皆さんに喜んでいただくことはもちろん考えていますが、競技団体は別として、国のためになること、日本のために戦っているんだということを、いつも胸に刻んで試合には挑んでおります。サッカーはスポーツの中でもグローバルと言えるものかなと。世界で最も競技人口が多く、全大陸で1次予選からあって世界大会もできる競技はサッカーだけかなと。国連よりもFIFA(国際サッカー連盟)の加盟国の方が多い。全国の皆さんが、日本人が日本に誇りを持つという状況を実現したい。W杯への国の関心度100%のような国が優勝しているので、皆さんも応援よろしくお願いいたします」
【木下淳】