
<明治安田J1:新潟1-0横浜>◇15日◇第20節第3日◇デンカS
アルビレックス新潟が、今季初のホーム2連勝を遂げて19位から18位に浮上した。
MFダニーロ・ゴメス(26)がスーパーゴールを決め、今季最多3万474人が詰めかけた本拠地で最下位横浜F・マリノスを1-0で退けた。ブラジル人アタッカーは後半28分、DF稲村隼翔(23)のフィードを右で受けると、カットインから左足で決勝点。守備では稲村が相手エースを封じ、J1初出場のGK田代琉我(26)がゴールに鍵をかけて完封してみせた。
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ブラジル出身のウインガーは、ホームの大声援を記憶に刻むように、両手を広げて何度もうなずいた。右サイドで、嗅覚を研ぎ澄ませていたゴメスは0-0の後半28分、左後方で稲村がキックモーションに入った瞬間、外へ広がりパスを受けると、DFを置き去りにするカットインから左足一閃(いっせん)。放物線を描いたコントロールショットがネット左隅に突き刺さると、雄たけびを上げながら天高く跳び上がった。
「マジックのような瞬間だったよ。うまく1対1をつくれたし、いい軌道に乗った。イメージ通りだし、気付いたらゴールにボールがあったね」。勝利に導く納得の今季2点目だった。
存在感も抜群だ。カットインと縦突破を織り交ぜる「アドリブ」の利いたドリブルで翻弄(ほんろう)。タッチライン際でコンビを組み、インナーラップを繰り返した右DF藤原奏哉(29)と、いい距離感で猛攻を仕掛けた。同じサイドアタッカーのFW小見洋太(22)が柏に移籍したが「互いの特長が違う。チームの哲学に合うようプレーするだけだよ」と不在を忘れさせた。
スタジアムには今季最多の3万474人が詰めかけた。「新潟の応援はいいプレーに拍手をくれるし、相手にプレッシャーをかけてくれるので力になる」。ブラジル時代には味わうことのなかったという「サウンド」を受けながらピッチに立つ。新潟の応援スタイルは、確実に来日3年目の助っ人の背中を押している。
最下位横浜との「裏天王山」を制し、勝ち点を19に伸ばした。得失点差で順位も19位から18位に上げた。まだまだJ1残留へ厳しい戦いは続くが、この日と同様、今後も対戦チームがポゼッションサッカーを消す「新潟シフト」を敷いてきても、屈することなく攻め続ける。「1試合1試合がファイナルと思って臨む。マジックのようなプレーが出るように、ハードワークをし続けるよ」とゴメス。本領発揮は、まだここからだ。始まりのスーパーゴールに過ぎない。【小林忠】