
県立進学校が春夏通じて初の甲子園を狙う。春の神奈川大会4強の川和は「未踏への挑戦」を掲げて同校史上初の甲子園を目指す。中心は日米スカウトがマークする左腕、浜岡蒼太(3年)だ。昨秋の神奈川大会で、東海大相模に7回2安打1失点と好投して一気に注目を浴び、春は同4強の原動力となった。
中学生の時点で高卒でのプロ入りが目標だった。指導者の練習への考え方や練習環境の質を軸に進学先を考える中で、平野太一監督(39)と出会った。平野監督は「こうなりたいんだ、という人間のエネルギーが好き」と本気で応援することを伝え、浜岡の川和での挑戦が始まった。
最速146キロの直球と縦横2種類のスライダー、ドジャース山本由伸の握りを参考にしたというカットボールなど多彩な球種を操るが、抑える秘訣(ひけつ)は分析だと語る。進学校らしい「考えてやる」野球をモットーとするチームで、大きく成長した。女房役の佐久間寛太捕手(3年)と話し合いを重ね「(今は)持っている球だけで抑えている訳ではない」と自信を持つ。「プロ野球選手になることと、県立から甲子園に出ることは、いわゆる『どうせ無理』と言われやすいこと。それを乗り越えたい」という平野監督の言葉が、当初はメジャー志望で甲子園にあまり関心がなかったという左腕の心を打ち、目標が定まった。
初戦は11日の2回戦、小田原と柏陽の勝者に決まった。「自分の投球で圧倒して、他県からこいつは誰だと思われる投球をして勝ちたい」。県立進学校から甲子園、そしてプロへ。挑戦の夏が動き出す。【寺本吏輝】