
NHKは4日、3日に亡くなった巨人終身名誉監督の長嶋茂雄さんの追悼番組として、「クローズアップ現代『長嶋茂雄と松井秀喜ふたりでかなえた夢』」を放送し、松井秀喜氏と長嶋茂雄さんの秘話などが明かされた。
長嶋茂雄さんは4球団競合の末に、巨人に入団した松井氏を4番に育てるために「1000日計画」を立て、マンツーマンで指導した。その中でも2人だけで行われた練習が、長嶋さんの自宅の地下室での素振りだった。
長嶋さんは自身が現役時代に磨き上げた独特の感覚で松井氏を指導。最も重要視したのは、スイングの「音」だった。
長嶋さん 部屋の明かりを真っ暗にして、音の世界でやろうと。どこが音がするか、しないかということをやって見ていた。
スイングの音について、長嶋さんは「速くバーッと振ると、ろくな音がしないよ。静かにサッ、サッと。音がパッパッパッと、あとでついてくるからね」と説明。「その世界、音の形が松井氏は分かっていたのか?」と問われ「分かっていましたね」と答えた。
長嶋さんの言葉を伝え聞いた松井氏は「全然、分からないですよ」と苦笑しながら「まず自分で音で聞き分けられないですから。自分がいいか悪いか判断できなかったですよ、最初は」と説明した。
始めた当初は長嶋さんから「ダメ」、「音が割れてる」などと指摘を受けたが、2~3年目に理解したという。「1球1球、全部言ってくださるから分かるようになってくるんですよ。この感じで振ったら、その音が出るんだと自分の体でも耳でも少しずつ分かってくる」と話した。
長嶋さんから熱血指導を受け、松井氏は日本球界を代表する打者へと進化し、海の向こうのメジャーリーグでも活躍した。