
<ドジャース3-4メッツ>◇2日(日本時間3日)◇ドジャースタジアム
【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)2日(日本時間3日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(30)が、ミスターベースボールの遺志を受け継ぐ。メッツ戦に「1番DH」で出場し、4打数1安打2打点。2点を追う7回に23号ソロ本塁打で反撃ののろしを上げ、9回はメ軍の守護神ディアスから同点犠飛を放った。今季、シーズン開幕前に東京ドームで長嶋茂雄さんと対面。激励を受け、記念撮影も行った。チームは惜敗したが、今後の野球界を背負う世界的スターとしてプレーで存在感を示した。
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大谷の23号アーチは夜空に、高く舞い上がった。打球を見上げ、何かを思ったのか、うなずきながら走り始めた。日本の野球界を背負い、ドジャースを通じて米国のベースボールとも関わった長嶋さんが死去。通常、大谷は試合後に自身のインスタグラムを更新するが、この日ばかりは試合前に投稿。2ショット写真を添え「心よりご冥福をお祈りいたします」とつづった。
今年3月15日、東京で開催された開幕シリーズの直前。巨人とのプレシーズンマッチの試合前に、長嶋さんと対面した。ミスターから激励を受け、臨んだ25年シーズン。5月に自己最多タイとなる月間15本塁打を放ち、二刀流復帰に向けても着々と前進してきた。エンジン全開のパフォーマンスを披露し、野球界の顔としてふさわしい活躍を見せている最中の訃報だった。
長嶋さんとドジャースには、64年前までさかのぼる縁がある。フロリダ州ベロビーチで巨人の春キャンプが実現したのは1961年。この時、元球団会長のピーター・オマリー氏(87)と初対面した。守備を重視し、緻密な野球を徹底するドジャース戦法を学んだ。長嶋さんもメジャー志向が強かった。その思いは実現しなかったが、世代交代を経て、続々と日本人メジャーリーガーが誕生。縁の深いド軍で、歴代の選手はもちろん、大谷や山本、佐々木ら日本人選手が活躍する姿を、ミスターも喜んでいたことだろう。
今や大谷は、日米だけでなく世界中の野球ファンから注目される存在となった。日本の野球人気を支えた長嶋さんの存在なくして、海を越えて世界へはばたく日本の野球人たちは生まれなかったはずだ。見る者を魅了し、他球団や敵地のファンを含め、誰からも愛されるスーパースターという点で似かよう。次世代へ、野球発展を願う夢のバトンは渡されている。その中心的な役割を、大谷が担っていく。