
<広島0-2阪神>◇31日◇マツダスタジアム
阪神大竹耕太郎投手(29)が、カープキラーぶりをまたも発揮した。緩急を巧みに操った投球で、8回途中4安打無失点で今季2勝目。広島戦では通算11勝1敗、防御率1・25で、マツダスタジアムでは無傷の8連勝中と、無類の強さを誇る。チームも5月8度目の完封勝ちで貯金を今季最多の9に伸ばし、3年連続で交流戦首位突入が確定した。
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大竹がカープファンの大声援を何度もため息に変えた。赤く染まったマツダスタジアム。「カープ一色で非常に投げにくさはありますけど…」。チラリと本音も明かしたが、動じることはない。8回途中4安打無失点。広島床田とのハイレベルな投手戦で投げ負けず、淡々とゼロを重ねた。
「事前にしっかり準備していた上で、どの引き出しを使っていくか。同じ環境の試合は1試合もない。今日の試合に向かって投げているのがいいのかなと」
3回には中村奨に右中間への三塁打を浴びるなど2死一、三塁。一打先制のピンチで3番ファビアンを迎えながら、初球137キロ速球で簡単に一邪飛に仕留めた。「リスク管理した上で長打にならない選択はしています」。80キロ台のチェンジアップなど緩急を操り、今季2勝目を挙げた。
広島戦は通算11勝1敗、防御率1・25。特にマツダスタジアムでは元広島ジョンソンに並ぶ無傷の8連勝と、無類のカープキラーぶりだ。強さの根本には、私生活からの「決めつけ」を排除する心がけがある。
「普段からの決めつけとか好き嫌いとかが、試合中の決めつけや好き嫌いにつながる。例えば『このレストランに行ったらこれしか食べない。だけど今日はこっち頼んでみよう。あれ、こっちでもこんなにうまいんだ』みたいな。配球とかとも一緒なんですよ」
どんな相手でも「意外な発見」を探し、日常の人付き合いから人の良い部分を見いだす。「そういう発想をマウンドでするために、普段から」。だからこそ、苦手な打者でも自分が得意な部分を探し、得意な相手にも慢心はしない。常日頃からの意識が、スキの無い投球につながっている。
大竹の好投がチームに5月8度目の完封勝利へと導き、貯金は今季最多の9。3年連続の交流戦首位突入が確定し、藤川監督も「緩いボールも使いながら、らしさが十分にバッテリーとして出せたと思います」とたたえた。赤く染まる敵地で、またも大きな1勝を呼び込んだ。【波部俊之介】
▽阪神坂本(大竹らを好リードで連勝導く)「村上が昨日(30日)丁寧に投げてくれたので、いろんなことが大竹にも参考になったと思う。野手が頑張ってくれるときも絶対来るので、その時までバッテリーで一生懸命粘って、巡り合わせがよくなるようにやっていきたい」