
<阪神1-5DeNA>◇29日◇甲子園
ようやくスコアボードに「1」を刻んだ。DeNA牧秀悟内野手(27)が1点を追う4回1死走者なしから、阪神デュプランティエの149キロ直球を完璧なタイミングではじき返した。バックスクリーン左へ同点の8号ソロ。チームに37イニングぶりの得点をもたらした。7回には2死満塁から代打の宮崎敏郎内野手(36)が押し出し四球を選んで勝ち越すと、石上泰輝内野手(24)の2点適時打でリードを広げ、連敗を3でストップした。
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キャプテン牧が、見えない鎖を断ち切った。1点を追う4回1死、阪神デュプランティエの149キロ直球にタイミングを合わせた。強烈な打球音ではじき返された打球はバックスクリーン左へ。同点の8号ソロに、一塁ベースを回りながら右手人さし指を立てて高く掲げた。「チームを勇気づけられる一打になったかなと。全員が早く点が欲しい中で、良い形で1本打てた」。連続イニング無得点記録に終止符を打つ、37イニングぶりの1点が持つ意味は大きかった。
チーム内に漂う重たいムードを振り払った。前日の同戦は9イニング中6度の先頭打者出塁、先発野手全員出塁で11安打4四球も、チャンスを生かせず。無得点で3年ぶりの3試合連続完封負けに沈んだ。牧も安打を放ちながらも得点につなげられず「ヒットは出てましたし、打線としても悪くなかった。チャンスで回ってきた選手が打てないっていうのが野球」と割り切って捉えた。
三浦監督も「あまり言いすぎてもよくない」とチャンスへのプレッシャーに気遣いつつ、試合前のミーティングで「ポジティブにいこうと。今日は今日で切り替えていこう」と前向きな気持ちで呪縛を解いた。
ポジティブ思考で吉兆データも引き寄せた。牧にとっては十八番といえる甲子園で躍動した。直近2年で打率4割3分2厘、6本塁打。「打つ方なら甲子園は大好きです。守備の時は遠く感じていやなんですけど、打撃はヒットゾーンが見えて打ちやすい」とクライマックスシリーズも合わせて14試合連続安打と抜群の相性を誇る聖地で、チームを勢いづけた。5月でワーストだった連敗を3で食い止め「いいきっかけになるのかなと思います」と牧。強力打線がここから本領を発揮していく。【小早川宗一郎】
▽DeNA三浦監督(37イニングぶりの得点となる牧の同点ソロに)「牧が1発で追いついてくれていいきっかけになったのかなと」