
<メッツ3-1ドジャース>◇25日(日本時間26日)◇シティフィールド
【ニューヨーク25日(日本時間26日)=四竈衛】投げて、打つのが大谷流-。 ドジャース大谷翔平投手(30)がメッツ戦に「1番DH」でフル出場し、5試合ぶりとなる18号ソロを放った。メ軍の千賀滉大投手(32)と今季初対決となった初回、今季4本目、通算16本目となる先頭打者弾を右翼2階席へライナーで運んだ。試合前には、23年の右肘手術後初めて打者相手に実戦投球。最速156キロをマークするなど、「二刀流」での完全復活へ確かな1歩を踏み出した。
◇ ◇ ◇
久しぶりの「二刀流」に血が騒いだのか。大谷はいつになく「前のめり」気味だった。
試合開始2分前。グラウンド上にはまだメ軍の選手が誰も出ていない状態にもかかわらず、三塁側ベンチを出て素振りを始めた。ようやく先発千賀が投球練習を始めると、タイミングを合わせてフルスイングを繰り返した。打席で足場を固めると、ヘルメットのツバに手を当て、マウンド上の千賀へ「目礼」。今季初対決へ臨んだ。
初球のボール球を見極めた後の2球目。真ん中低めの速球を完璧にたたき、125メートル先の右翼2階席へ突き刺した。「甘い球をしっかり打てたので、そこは良かった」。試合後は、待ち構えた獲物を仕留めた一打を、落ち着いた口調で振り返った。その一方で、3回は3球三振。1発が出れば同点の状況で迎えた5回2死一塁からは、中飛に倒れた。「あと少し捉えきれないところ。もう少しどうにかなる打席だった。ちょっと悔やまれるかなと思います」。球筋を熟知しているとはいえ、千賀の宝刀「ゴーストフォーク」を仕留め損ねたことを悔やむほど、反省のレベルも高かった。
幼い頃から普通だった「投打」のリズムが、大谷の体に染みこんだ感性を刺激した。この日は午後7時10分のナイターを前に、午後2時半から打者相手の投球練習に臨んだ。
23年の右肘手術以来、約1年9カ月ぶりの実戦形式。打者5人に1安打2奪三振1四球。首脳陣、ベッツ、山本ら同僚が見守る中、打ち取っても、打たれても、四球を出しても、大谷には笑みが絶えなかった。「楽しい? そうですね。自分が投手をやってるのを思い出した感じがあるので、良かったんじゃないかと思います」。
当初は「上げすぎないように」と意識しながら、本能がうずいたのか、最速は「スピード違反」の156キロ。「いいところもあり、もう少し抑えながら」と笑った。今後は、徐々に球数、強度を上げながら「投手大谷」としての精度を磨く段階へ進む。「二刀流」の本格復帰は球宴後の7月中旬。慎重さを期す一方、あらためて、投げて、打つ、が大谷の両輪であることを示した。
▼大谷が千賀から先頭打者本塁打。日本人大リーガー同士の投打対決で本塁打は、23年5月2日にレッドソックス吉田がブルージェイズ菊池から打って以来12本目になり、先頭打者本塁打は初めて。大谷は菊池から3本、前田から1本打ったのに次いで5本目。千賀からは日本ハム時代の16年に2本打っており、日米両方で本塁打を放った投手は千賀が初めてだ。なお、チーム53試合目での18号は23年の66試合目を上回る自己最速ペース。