
野球ファンにとって月曜は特別な日。先週を振り返って、今週に思いをはせる。識者に回顧と展望を聞いた。パ・リーグ編は平石洋介氏(45=日刊スポーツ客員評論家)。
----◇--◇----
先週の野球界最大のトピックは、やはり楽天浅村の通算2000安打達成だろう。
私が監督を務めた19年に移籍してきた選手。当時からレギュラーの責任感が強く、決して「痛い」と口にしないし「休む」とも言わない。例えば前の日に死球を受けて、本当は痛みがひどく残っていても、そぶりさえ見せない。常にベストの準備をして臨んでくれていた。監督の立場からすれば、彼ほど頼りになる存在はいなかった。
2000安打を心から祝福したいが、1つだけ残念に思うことがある。20日の西武戦を欠場し、連続試合出場が歴代4位の「1346」で途切れたことだ。
長いシーズン、コンディションを整えさせるためにスタメンを外すのは分かるし、実際に浅村もベンチスタートしたことはある。ただ、20日は僅差の展開。代打でいける場面がいくつもあった。結局、0-1で敗れただけに、たとえ走者なしでも浅村が1発を打てば追いついていたことになる。
もちろん、大前提として、どんなときでも個人記録がチームの勝利より優先されるのはおかしい。そこに議論の余地はない。だが、浅村以上に力を持つ選手は、今の楽天にはいないのが現状でもある。
先ほど書いたように、僅差の展開でもあった。もしかしたら、コンディションなど外部にはうかがい知れない理由があったのかもしれないが、欠場は「不思議」としか言えない。すごい記録だけに、残念で仕方ない。
とはいえ、選手は受け止めるしかない。浅村も分かっているはず。その4日後に2000安打を達成したことが感慨深い。チームメートたちの喜びようを見て、みんなが待っていたことが伝わってきた。そんな日の一戦は絶対に勝ちたい。その思いが、1点差勝ちにつながった。
交流戦まで残り1週間となった。どのチームも交流戦までを1つの節目に置いているだろう。特に借金を抱えているチームは、1つでも減らして迎えたいところだ。「パ・リーグの方が強い」は定説だが、近年はセ・リーグの投手が力をつけてきた。ペナントレースの流れがガラッと変わる可能性もある6カード。勢いを持って迎えるためにも、今週は大事なポイントになる。(日刊スポーツ評論家)