
<明治安田J1:横浜3-1鹿島>◇25日◇第18節◇日産スタジアム
最下位の横浜F・マリノスが、ついにトンネルを抜けた。
7連勝中の首位鹿島アントラーズをホームに迎え、DF永戸勝也とFWのYマテウスの2ゴールで3-1と快勝した。連敗を7で止めるとともに3月16日のG大阪戦(2-0)以来12試合ぶりの白星となった。1993年のJリーグ創設時の「オリジナル10」でJ2に降格したことがないのは横浜と鹿島だけ。その名門対決を制し、今後につながる勝ち点3を手にした。
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なりふり構わずゴールへ向かった。横浜の選手たちは異口同音に「内容よりも結果」。思いも行動も一致。それが立ち上がりからのゴールラッシュとなった。
前半4分、こぼれ球を永戸が右足で蹴り込み均衡を破った。同13分には流れるようなパスワークから最後はYマテウスが左足で決めた。27分にはAロペスのパスからYマテウスが芸術的なコントロールシュートをゴール左隅へ。開始30分で勝負の行方を方向付けた。
かつて本田圭佑が口にした「ゴールはケチャップのようなもの」。苦しんだ2カ月間がうそのように、ゴールが次々と生まれた。まさしく「ケチャップ・ドバドバ」状態。攻撃が決まると守備に相乗効果をもたらした。GK飯倉、DF松原、デンを中心に全員が身をていして守った。シュート数は8本対12本。数字以上に鹿島に多くの決定機を作られたが踏ん張った。集中力が切れなかった。「勝ちたい」。その一心だった。
38歳の最年長、飯倉が言う。「とにかく今日は闘うと決めてきた。諦めず応援してくれるサポーターのためにも、俺らが先に諦めてしまったら申し訳ない」。勝てなくなり、自然と気持ちは受け身に回っていた。主体性や積極性を取り戻すため前節神戸戦から戦術を変えた。縦へのロングボールを増やし、セカンドボールの回収からゴールを目指す。いわば球際の強度をより意識した戦い方。松原は「90分間、誰がどの選手にマークすると分かっていてもうるさく常に確認し続けし、声を出し合った」。勝負を突き詰め、当たり前のことを徹底した。
J元年から33年間、先人たちが築いてきた「トリコロール・プライド」は滅びない。オリジナル10対決で横浜は息を吹き返した。献身的に走り続けた遠野は「首位の相手に勝てたのは大きいが、まだまだ足りないし、一喜一憂しない」。この1勝を浮上のきっかけとする。【佐藤隆志】