
<楽天2-1日本ハム>◇24日◇楽天モバイルパーク
強さ-。平成生まれ初、史上56人目の通算2000安打を達成した、楽天浅村栄斗内野手(34)を象徴する言葉だ。
とにかく痛みに強い。西武時代の15年8月8日から続く連続試合出場は今月20日西武戦で途切れたが、歴代4位でパ・リーグ記録の「1346」をマークした鉄人。けがとは決して無縁ではなかったが「痛いと思ったらそこばっかり意識しちゃうので、あまり気にしない」。あえて鈍感でいることを心がける。
23年は右太もも裏を肉離れしながら出場を続け、自身2度目の本塁打王に輝いた。今年4月26日ソフトバンク戦(楽天モバイルパーク)では、左太もも裏に死球を受けてグラウンドに倒れ込んだが、治療を受けると代走を送られることなく一塁に向かった。「レギュラーとして出る以上はずっと出たい」。痛みの残る翌日の一戦では2安打を放ってみせた。
力強いスイングを代名詞にする。大阪桐蔭の恩師である西谷浩一監督(55)からも「とにかく思い切り振ってこい」と教わった。浅村は「ホームランを打ちたいと思って打席に入るのではなくて、強く振った中で生まれるヒットもたくさんある。後悔をなるべくないようにするのが根本的にはある」と力を込めた。
心も強い。調子が良くても悪くてもメンタルは一定。強く振る姿勢同様、ホームゲームの前にはロングティーなど早出練習を欠かさず、自分の信じる道をぶれずに進む強さもある。高校時代は寝坊を繰り返し、西谷監督から「だらしない」と何度も叱られた。西武若手時代には門限を破り、外出禁止令が出たこともある。そんなことがうそのようにストイックに野球に打ち込む。
チームメートの鈴木大は「実力をつけるのも心の強さがないと絶対つかない。体だけじゃなくてすごい心の強さがあると思う」。小郷も「調子が悪いとかも分からないですし、逆に調子いいとかも分からないぐらい感情の波がない」と証言する。
自己ワーストの35打席連続無安打などを経て到達した2000安打は、浅村の「強さ」そのものだ。【山田愛斗】