
<東京6大学野球:明大0-1早大>◇第6週第2日◇19日◇神宮
早大のエース伊藤樹投手(4年=仙台育英)がノーヒットノーランを達成した。9回を投げて106球、11奪三振、5四死球だった。
16年秋に慶大加藤拓也投手(広島-ヤクルト=現矢崎)が東大1回戦で達成して以来25人目、26度目となった。「人生初のノーヒットノーランです。やってしまったなという感じ。ホームを踏ませない一心で投げた」と振り返った。
負ければ優勝の可能性が消えた一戦で、チームを救った。最速151キロの直球と落差の大きいスプリットを低めに集め、明大打線を翻弄(ほんろう)した。
前回登板した立大3回戦で「野球人生でこんなに1試合で取られたことはない」という自己ワーストの3回8失点。立大1回戦で投げた際に人さし指にできたマメが破れて、リリースした瞬間に痛みが襲うほどだった。「マメとはうまく付き合っていく。監督からも投げ方を教えてもらい、違和感なく投げることができた」と小宮山悟監督(59)の助言もあり、大記録を達成した。
チームは0-0の9回裏にサヨナラ勝ち。この回無死一、三塁から寺尾拳聖外野手(3年=佐久長聖)が左前適時打で勝負を決めた。9回表の守備では、レフトへの大飛球をフェンスに激突しながらキャッチしてピンチを救った男が、バットでも勝負強さを発揮した。寺尾は「樹さんがノーヒットで投げていたのに、なかなか打線がチャンスをつくれなかった。最後に打てて良かった」とホッとしたように笑った。
小宮山監督は「9回裏に点を取ってサヨナラが望ましいと考えていた。途中で点が入ると、樹が『守らないといけない』となってしまうので」と最高の勝利に満足げだった。