
堅首のキーマンや! 阪神高寺望夢内野手(22)が14日、プロ初アーチの勢いそのままに、次戦以降を見据えて闘志を燃やした。
13日DeNA戦(ハードオフ新潟)では小幡に代わって今季初スタメンで、9回2死の土壇場から起死回生の同点ソロ。15日は、プロ2年目にクライマックスシリーズ(CS)で苦汁をなめて以来の横浜でDeNA戦。通算4安打がすべて長打の若虎は雪辱を果たし、さらなる活躍を目指す。
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高寺はすでに先を見据えていた。「変わらずにしっかり準備をして、やれたらいい」。プロ初アーチから一夜明け、少しほおを緩ませ、晴れやかな表情。序盤での首位キープへ新たなキーマンとなる若虎が、次なる戦いの地・横浜へ向かった。
前夜は「6番遊撃」のスタメン抜てきに応えた。11日中日戦まで18試合連続で遊撃で先発出場の小幡が負傷し、12日に出場選手登録を抹消。代役は無安打、2犠打で迎えた9回2死での第4打席に148キロ直球を捉えた。今季初安打のプロ初本塁打が、右越えへの同点ソロ。越後の虎党をわかし、今季初スタメンの役目を果たした。「祝福の連絡をたくさんもらった。なつかしい人からも。見てくれているということなのでうれしい。しっかり1本出て、ここから本当のスタートなので頑張りたい」。喜びをかみしめ、気を引き締めた。勢いそのままに、さらなる好成績を目指す。
今季初本塁打を含めてプロ通算4安打。22年にマークした3安打はいずれも二塁打で、ここまでの安打はすべて長打。単打はまだ出ておらず「ハマスタで打てるように頑張ります」と笑った。安打での出塁も狙いつつ、持ち前の長打力を武器に暴れられれば、チームも勝利に近づく。
高寺にとって、横浜は苦い思い出の残る球場。「CSですね…」と想起した。22年10月9日のDeNAとのクライマックスシリーズファーストステージ第2戦に、当時19歳で球団10代野手初の先発出場。2打席で2三振だった。13日は、そこから947日ぶりの1軍公式戦スタメンだった。「(横浜で)まだ打てていないので、打てるように頑張る」。屈辱を味わった地で、4年越しに記憶を塗り替える活躍を誓った。
15日の同戦でのDeNA先発は速球派右腕のジャクソン。阪神打線は昨季から抑えられた試合も多い。前日に同じく直球に定評のある入江の真っすぐを仕留めた高寺は「いいピッチャーというのは見ていて思っていた」と印象を明かした。優勝への旅の途中にいる猛虎軍団。難敵攻略に貢献し、その主力となるため、着実に歩を進めていく。【塚本光】
★高寺の22年クライマックスシリーズVTR DeNAとのCSファーストステージ(横浜)、阪神が先勝して臨んだ10月9日の第2戦に「7番二塁」で先発し、ポストシーズン初出場。DeNA先発大貫の前に3回は空振り三振、6回は見逃し三振と2打席連続三振で、8回の打席で代打ロハスを送られ途中交代となった。チームも計14三振で、0-1の完封負けを喫した。
◆高寺望夢(たかてら・のぞむ)2002年(平14)10月17日生まれ、長野県出身。上田西から20年ドラフト7位で阪神入団。22年6月8日のソフトバンク戦で1軍デビュー。昨季はウエスタン・リーグで最多安打を記録した。178センチ、76キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸は650万円。