
<ダイヤモンドバックス1-8ドジャース>◇11日(日本時間12日)◇チェースフィールド
【フェニックス(米アリゾナ州)11日(日本時間12日)=四竈衛】ドジャース大谷翔平投手(30)が、ダイヤモンドバックス戦に「1番DH」でフル出場。5打数2安打1打点と、今季最長の9試合連続安打をマークした。「母の日」に2番ベッツ、3番フリーマンの「MVPトリオ」で計9安打5打点とピンクバットパワーがさく裂。ダ軍に快勝し、今季最長のロード10連戦を6勝4敗と勝ち越してフィニッシュした。
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いつもの黒バットからピンクバットに持ち替えても、大谷の高速スイングは変わっていなかった。5回。直前の打席まで計9打数1安打6三振と苦戦していたダ軍先発ゲーレンから、9戦連続安打となる中前打で出塁。第1打席で仕留められたチェンジアップをバットの芯で捉えた。6回には、救援左腕マンティプライから右前へ適時打。同じような凡退を繰り返さず、甘い球は打ち損じない。試合の中での対応、修正の的確さが際立つ2本だった。
年に1度の「母の日」だからといって、打席でのアプローチが変わるわけではない。その一方で、過酷な移動、日程をこなすメジャーリーガーにとって、自らの軸足を見つめ直す貴重な機会でもあった。試合前、ロバーツ監督はしみじみと言った。「妻や母に感謝すること、そして家族を思う1日だからね」。
バットだけでなく、ピンクのベルトを締め、特別仕様のスパイクを履いた大谷にとっても、これまでとは少し異なる感覚だったのかもしれない。劇的な勝ち越し3ランを放った9日の試合後には、2日後の「母の日」について、「もちろん感謝していれば、直接伝えればいいです」と思いを口にした。
今年は母加代子さんだけでなく、4月に長女を出産した妻真美子さんにとっても初の「母の日」。子として、父として、2人の母へ感謝する気持ちは、これまで以上に、より強まっていたに違いない。
前夜の完封負けから一転、この日は大谷、ベッツ、フリーマンの「MVPトリオ」で計9安打5打点。快勝劇でロード10連戦を締めくくった。ロバーツ監督は「とてもポジティブだった」と、うなずくように総括した。休日を挟み、13日からは本拠地での9連戦。試合後、シャワーで汗を流した大谷は、柔らかい笑みを浮かべ、愛する家族の待つロサンゼルスへ向かった。
◆大谷と母の日 日本ハム時代を通じ、マルチ安打は初めて。大リーグ移籍後は21年に現DeNAのバウアー(ドジャース)から安打。22年のナショナルズ戦では9回2死から同点の2点適時二塁打を放ち、サヨナラのホームを踏んでいる。昨季は腰の張りのため欠場した。父の日には通算4アーチを放っているが、母の日の1発は今年もお預け。日本人大リーガーでは01年新庄(メッツ)と23年鈴木(カブス)が「母の日アーチ」を放っている。