
<明治安田J1:鹿島2-1川崎F>◇11日◇第16節◇国立
首位鹿島が川崎Fに2-1で逆転勝ちを収め、6連勝を飾った。前半に先制を許したが、MF舩橋佑(22)とFW田川亨介(26)の得点で試合をひっくり返し、終盤は全員で体を張った守備で耐えしのいだ。鬼木達監督(51)にとって相手は昨季まで8シーズン率いた思い入れの強いクラブ。古巣相手に勝負強さを発揮した。新国立でのJ1史上最多となる5万9574人が詰めかけた熱戦を制し、連勝街道を突き進む。
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10分に及んだ長い追加タイムを終え、試合終了の笛を聞くと、鹿島の鬼木監督はスタッフとハイタッチをかわした。「気持ちのある非常に良いゲームだった」と選手たちをたたえた。
立ち上がりは相手に圧倒された。アジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)で2位になった川崎Fの鋭い出足について行けず、次々とチャンスを作られた。先制を許したが粘り強く戦い、前半終了間際に船橋の得点で追いついた。後半20分に途中出場の田川が決勝点。攻め込まれた終盤は体を張った守備で6連勝をたぐり寄せた。
相手は選手時代から26年在籍した愛着あるクラブ。指導者ライセンスのドイツ研修で2週間同部屋だった同志でもある長谷部監督が指揮を執る。試合前に自身の名前がアナウンスされると相手サポーターからも拍手が送られた。「変な感情の中やるのではなく、目の前の相手に集中できた」。指揮官は試合中、勝負の鬼となった。
「終わればやっぱりいろいろな思いはある」としながらも「鹿島の一員として優勝するために来ている。そこを主として考えながらいくのが自分のスタイル」。私情を挟まず勝負に徹した。
伝統の勝負強さを取り戻しつつある。6連勝中、5試合が1点差の白星。先制すれば逃げ切り、されれば逆転する。大一番前には戦術面よりも「気持ちだぞ」と精神面の重要性を強調した。8季で7冠を成し遂げた前クラブ時代から勝負へのこだわりは人一倍強い。「(鹿島)らしさは徐々に出せてきていると思うけど選手もこの勝利には満足していない」と気を引き締めた。【佐藤成】