
<ダイヤモンドバックス5-3ドジャース>◇8日(日本時間9日)◇チェースフィールド
【フェニックス(米アリゾナ州)8日(日本時間9日)=四竈衛】ドジャース大谷翔平投手(30)が、敵地でのダイヤモンドバックス戦に「1番DH」でフル出場。9回2死から2試合ぶりとなる飛距離130メートルの11号ソロを放った。直近6試合で4発。量産態勢に入った。先発山本由伸投手(26)は5回5失点で3敗目。ド軍の追い上げも及ばず、同地区の宿敵相手の4連戦は黒星スタートとなった。
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3点ビハインドで試合終了まで「あと1球」となった9回2死。敵地に「Beat LA(LAをやっつけろ)」の大合唱が響く中、大谷がひと振りで場内の空気を変えた。快速右腕ギンケルに対し、フルカウントからの7球目。真ん中高めへ入った時速95・9マイル(約154)の速球を、右中間にある同球場名物のプールエリアへ弾丸ライナーでたたき込んだ。直近6試合で4発となるアーチで、ナ・リーグトップのフィリーズ・シュワバーに1差の11号ソロ。結果的には空砲となったとはいえ、両軍のファンを沸かす一打が、あらためて大谷の存在感を際立たせた。
最後まで最善を尽くすのが、プロとしての使命だった。この日は、「ジャパニーズ・ヘリテージ(遺産)・ナイト」と銘打たれたイベントが開催され、敵地にも地元の日本人ファンが多数詰めかけた。試合前には、太鼓の演奏が披露され、球場周辺では「かき氷」が販売されるなど、随所で日本の文化が紹介された。敵地とはいえ、いつも以上に注目度は増していた。
直前の第4打席までの大谷は、大ブーイングと歓声が交錯する中、無安打と沈黙した。今や全米各地の敵地では、身びいきチームの勝利を願う一方、「大谷のアーチも見てみたい」とのファン心理が多く聞かれるようになった。ド軍のキャンプ地でもあるアリゾナでは、アンチだけでなく、熱心なファンも数多い。5回5失点で降板した先発山本は援護できなかったものの、最後まで見守ったファンへ、お土産代わりの豪快弾を披露した。
もっとも、まだ序盤戦とはいえ、同地区のダ軍との直接対決が持つ意味は小さくない。優勝争いやポストシーズンの開幕権を含め、対戦成績が左右するケースもあるだけに、一戦たりともムダにはできない。それだけに、試合後のロバーツ監督は敗戦の中にもプラス材料を見つけていた。「(終盤に)反撃できたのはよかった。今夜は、後半のスイングが良かったのは間違いない」。8回の2得点、大谷の一撃が、ボディーブローとなるのか。いずれにせよ、敵味方を超えた存在となった大谷が、残り3戦の行方を左右することになりそうだ。