
<春季高校野球新潟大会>◇2日◇柏崎市佐藤池球場ほか◇2回戦
関根学園が、昨春の北信越大会優勝校で春3連覇を狙った帝京長岡に延長10回タイブレークの末、3-2でサヨナラ勝ちした。エースで主将の鈴木興丞(こうすけ)投手(3年)が志願の先発マウンドを1人で投げ抜き10回6安打2失点、143球の熱投。打線も応え、2-2の10回裏無死満塁から2番高木愁也左翼手(3年)が中前にサヨナラ適時打を放った。三条は緊急登板の星野煌太投手(2年)が8安打1失点で完投し、長岡高専に4-1で勝った。
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ピンチをしのぐたびに、鈴木がほえた。右横手から伸びのある直球と変化球をコーナーに決め続ける。2点こそ失ったが、ビハインドは常に1点にとどめた。
「調子はベスト。この1週間は調整してきた」。練習後に超音波のケア器具などで肩、肘の疲労を取ってきた。投球数143球も、体の状態には自信あり。5回までは無安打、6回以降は申告故意四球を除けば四球1と安定したマウンドさばきを披露した。左打者を計10人繰り出してきた帝京長岡打線に対し、冷静に、そして強気に勝負した。
安川巧塁監督(33)は「ほかの投手の先発も頭にあったが、鈴木が志願してきたので託した」と言う。「自分はエースで主将。ヤマ場の試合だと思ったので、投げさせてください、と伝えた」と鈴木。1月の1次抽選で帝京長岡と同ブロックが決まると、照準を合わせてトレーニングした。練習中に気がついたことは1対1で話すなど、主将としてナインとのコミュニケーションも密にしてきた。
1年時から主力でマウンドに立ってきた。ただ、昨夏は4回戦、昨秋は2回戦で敗退と屈辱を重ねた。自他ともに認める大黒柱になり、自覚が芽生えた。これまでは内角攻め主体だったが、この日は「アバウトな投球ではなく、試合をつくれる投手になる」と丁寧に両サイドを使った。昨春の北信越王者の帝京長岡は悔しさをぶつけ、成長を確かめる絶好の相手だった。
関根学園の春の目標は、ベスト4に入って新潟開催の北信越大会に進出すること。「ここからもガンガン勝っていく」と、鈴木は3回戦の日本文理戦を見据えた。【斎藤慎一郎】
○…勝負を決めたのは関根学園高木の一打だった。無死一、二塁から始まるタイブレークの10回裏、先頭の鈴木が敵失を誘って同点とし、つないだ無死満塁。「気持ちで負けずにコンパクトに振った」と、外角高めの直球を捉えて中堅に運んだ。鈴木の粘り強い投球を後ろから見ていて「頼れる投手。カバーしなければならなかった」とエースの好投に応える決勝打だった。
○…帝京長岡は春の北信越連覇と県3連覇を逃したが、1年生左腕・工藤壱朗の台頭が収穫だった。公式戦初登板で9回を8安打8奪三振。失点は1-0の9回裏に3安打を許して同点にされた1点だけだった。1回から3回まで得点圏に走者を背負いながらも「絶対に先制点は取らせない」と無失点で乗り切る粘りも見せた。札幌市出身。同郷で帝京長岡OBの茨木秀俊(阪神)佑太(ロッテ)の兄弟に憧れて進学した。「夏につながる投球ができたと思う」。無念の敗退の中、チームの光明になった。
○…三条星野が公式戦で初の「完投」勝利を収めた。1番投手で先発した兵田雅隆(3年)が、1回表の攻撃で三盗した際に左肩を負傷して、そのまま交代。遊撃手で先発の星野が1回裏の先頭からマウンドに立った。「何も準備はしていなかった」と1回は3四球で1点を失ったが、その後は走者を出しながらも粘りの投球で追加点を与えず、逆転勝ちの土台を造った。緊急登板にも「練習試合でもいきなり継投することもあった」と動揺はなし。「機会があるなら次も先発したい」と意欲を示していた。