
2軍調整中の巨人田中将大投手(36)が25日、イースタン・リーグの日本ハム戦(ジャイアンツタウン)に先発し、2回を完璧に抑えた。140キロ台前半の直球、変化球ともに制球が安定。「ようやく感覚ができ始めてきている」と手応えを口にした。17日のDeNA戦で2回6失点。日米通算199勝目をかけて1軍復帰予定の5月1日広島戦(東京ドーム)へ、桑田真澄2軍監督(57)は「本物のアウトロー」が鍵とした。復活を目指す戸郷翔征投手(25)は2番手で登板し、6回2安打1失点だった。
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田中将が予定通りの2回を完璧に抑えてマウンドを降りてから約2時間後。球場のベンチ裏の通路で桑田監督が左の手のひらを向けた。「こことここの違いです」。右手の指で示したのはグラブで言えば親指付近と小指付近だった。
「僕はどのピッチャーにも伝えるのは本物のアウトロー、それだけですね」。右打者の外角低め、ただミットに収まるだけでは“普通”。さらに外いっぱい、親指付近に収まるものが“本物”だと示した。同じ外角低めでも収まる位置で「1、2個分は違うかな」とし、「今日は2、3球、いいところにきていた。ボールでしたが、僕はいいボールだったなと思ってます」とほほ笑んだ。
この日、田中将が意識した1つも低めの精度だった。「コースをきっちり投げ分けられればと。コース、高さ。メリハリですね。イメージができ始めている」と振り返った。初回の1球目、142キロの直球から入った。3者凡退に抑え、2回は好調の日本ハム4番有園を直球で差し込んで三ゴロ、5番進藤には最速145キロもマーク。ルーキー荒巻の好捕で三ゴロにはグラブをたたいて感謝し、最後は6番清水優を変化球で空振り三振締め。「自分の中ではこれまでとの違いは出せた」とうなずいた。
17日のDeNA戦では、定まらない直球に悩まされた。浮いた球、変化球を痛打される場面があった。ファーム調整を続けてる中で、「真っすぐがベルトから上にしか集まってこないとなれば『それより低いところは全部変化球や』となる」と敗因を分析していた。密着指導もした桑田監督は「野球の歴史でどの時代のデータを取ってもアウトローは一番打率が低い。僕自身もアウトローで生きてきた人間」と説く。
大台の日米通算200勝まであと2勝。王手をかけたい次戦へ、「長いイニング通してそういう(コースを意識した)投球していって、相手を抑えられるように」とつなげていく。日米で“本物”ぶりを示し続けた男が、違いを見せる。【阿部健吾】