
<日本ハムー楽天>◇23日◇エスコンフィールド
昨季台湾MVPで最速157キロ右腕の「火球男」、日本ハム古林睿煬投手(24)が楽天戦(エスコンフィールド)に先発し、NPBデビューを果たした。味方の守りのミスもあり、初回に3失点。2回からは走者を出しながらも0を並べたが、6回に浅村に3ランを打たれ降板した。5回2/3、9安打7失点(自責5)のほろ苦い結果となったが、直球で押し込むなど、今後に期待も抱かせた。
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台湾の「火球男」も、さすがに心が揺れ動いていた。古林睿煬にとってNPBのマウンドは「小さい頃から夢見てきていた」場所。ようやく夢がかなった初回の立ち上がりは、いろんな気持ちが交錯していた。「本当に緊張もあるし、期待もあるし、楽しみっていう気持ちもあるし、興奮もあるし…。何回も想像していたところに実際に上がって、本当になんとも言えないような感情でした」。
不思議な感覚の中で、いきなり制球が乱れてしまった。1回は1番小森に対して四球を与えてからピンチが広がり、清宮幸の適時失策などで3失点。2回から5回までは無失点も6回は浅村に4号3ランを浴びるなど一挙4失点と最後までリズムに乗れなかった。「浅村選手へ投げた、あの1球に関しては結構いい球だった。それを打ち返す浅村選手のすごさ。次の対戦で同じような場面でどう打ち取れるか。自分がもっと頑張りたい」と前を向いた。
酸いも甘いも全ての経験を今後に生かすだけだ。「良かったところも悪かったところも全て収穫だと思う。今後に全てつなげていきたい」。来日してからずっと、昨季の台湾MVP右腕という肩書におごることなく「日本のプロ野球はそんな簡単ではないと思っている」と繰り返してきた。だからこそ、この苦い経験も血となり肉とする。
この日はエスコンフィールドに台湾からも多くのファンが詰めかけていた。球団関係者によると、通常の試合日の外国人来場者に比べて約3倍だったという。「たくさんの方が来てくださって応援していただいたのは、うれしくてありがたい。今日はこういう結果になったけど、次はより良い結果を応援してくれている方々に見せていけるように頑張りたい」。次こそ夢の舞台で快投する。【木下大輔】
◆古林睿煬(グーリン・ルェヤン)2000年6月12日、台湾・台中市生まれ。平鎮高中から18年ドラフト1位で台湾・統一に入団。19年に1軍デビューし、21年は史上最年少で開幕投手を務めた。23年は台湾代表としてアジアプロ野球チャンピオンシップに出場。24年は21試合登板、10勝2敗、防御率1・66で最優秀防御率のタイトルを獲得し、年間MVPにも輝いた。台湾プロ野球での通算成績は70試合登板、32勝15敗、防御率2・48。184センチ、81キロ。右投げ右打ち。