
<西武3-2オリックス>◇17日◇京セラドーム大阪
決勝打を導き出すために、西武の平沼翔太外野手(27)はしっかりと“ゾーン”に入っていた。
7回2死一、三塁。代打で登場。オリックス古田島は叫びながら1球1球を投じていた。でも平沼は。
「叫んでたんですか? 全然気にならなかったです」
プロの集中力。西口文也監督(52)も「代打で出た時のほうが集中力が入ってるのかなっていうくらい、その1打席1打席に集中してくれてるかな」と認めている。
カウント2-2になって動じない。外寄り145キロをしっかりとセンター前に打ち返した。勝ち越し打。一塁上でベンチへと人さし指を掲げる。本塁近くでは生還したネビンが、平沼へとこぶしを突き上げていた。「いい場面で送り出してもらえました。しっかり頭を整理して打席に入れました」と振り返った。
敦賀気比(福井)時代のセンバツ優勝投手も、今はバットで生きている。
年末年始は福井に帰省した。
「ファンの方が教えてくれて、たまたま知ったんですよ」
うれしそうに話す。97年8月16日生まれ。なんと今年1月1日が、平沼の生誕1万日目だった。
「びっくりしましたよ。何かあるんですかね」
こういう活躍も、流れを持っている証だ。シーズンは始まったばかりだが、昨季91敗の西武が単独3位に浮上した。これまでとは違う、メモリアルな1年にしたい。
「もちろん優勝目指してやっています。上だけ目指して。去年のこともあるので。ただただ勝ちたいっていう気持ちが大きいです」
そして。
「ライオンズはまだまだこんなもんじゃないです。もっともっと強くなると思います。明日からも一緒に戦いましょう!!」
打席ではとんでもない集中力を発揮しても、外野応援席の熱さはいつも目と耳と、そのうねりで味わっている。【金子真仁】