
<東北地区社会人・大学野球対抗戦:仙台大4-4日本製紙石巻>◇2日目◇30日◇宮城・石巻市民球場
大暴れを予感させる大きな1発が飛び出した。
仙台大(仙台6大)が4月12日の春リーグ開幕を前に、社会人・大学野球交流戦に出場。日本製紙石巻(宮城)に4-4で引き分けた。
今秋ドラフト候補でスイッチヒッターの平川蓮外野手(4年=札幌国際情報)が先制の左越え2ラン。スカウト陣の前で強烈なアピール弾を見せつけた。
かつての戦友にも成長を見せた。日本製紙石巻には仙台大の先輩らが3人在籍。この日は2学年上の坂口捕手の配球を読んだ。平川は「1打席目で真っすぐを振り遅れてしまったので、坂口さんなら真っすぐでくると思いました」と2打席目の初球真っすぐを捉えた。「成長した姿を見せたかったので、ホームランを打てて良かったです」と笑みがこぼれた。
集大成に全てを懸ける。2年秋からスイッチヒッターとして頭角を現すも、昨季は左打ちに専念。だが、体のバランスが崩れ、打撃不調に陥った。ラストイヤーは一番の武器であるスイッチヒッターで勝負する。今季はすでに5本目。そのうち4本が左打席だったが、この試合では今季初の右打席でたたき込んだ。
さらに、今季は走塁にも力を入れる。50メートル5秒9の俊足。「大きくて、走れる方がプロからの評価は高くなると思うので、盗塁を増やして『盗塁王』を目指したいです」。184センチ、84キロと恵まれた体形でも走れる選手になる。目指すはプロ一択-。花道を飾るために進み続けるだけだ。【木村有優】
▽日本ハム白井スカウト(平川に)「大学で確実に成長しています。この体格で両打ちは本当に魅力的なので、いろいろなピッチャーと対戦して、さらに対応力を磨いてほしいです」
▽阪神葛西スカウト(平川に)「ホームランも打ちましたし、大型のスイッチヒッターで本当に魅力的で東北地区を代表するバランスの取れた選手だと思います。あの体格で動ける身体能力も高評価です」
◆平川蓮(ひらかわ・れん)2004年(平16)3月31日生まれ、北海道出身。小4で円山リトルジャイアンツで野球を始め、宮の森中の軟式野球部でプレー。札幌国際情報では2年夏にベンチ入りし、3年春からエース。仙台大では1年秋にベンチ入り。父は北海高の平川敦監督。184センチ、84キロ。右投げ両打ち。好きなアーティストは平井大。
○…日本製紙石巻は、7回に3番手で登板したルーキー小野寺唯人投手(22=仙台大)が1回を無失点に抑えた。先頭に四球を与えると、すかさず2年目捕手の坂口が駆け寄り「相手は関係ないから、いつも通りの投球をしよう」と声をかけてくれた。後続3人を凡退。坂口とは仙台大でもバッテリーを組んでいた。小野寺は「経験もあるので本当にやりやすいです」と、大学時代に培った信頼関係で切り抜けた。