
今季から日刊スポーツ評論家となった楽天元監督の平石洋介氏(44)が、初のシーズン順位予想に挑みました。悩みに悩み、出した結論は、パ・リーグは(1)日本ハム(2)ソフトバンク(3)西武(4)オリックス(5)楽天(6)ロッテ、セ・リーグは(1)巨人(2)阪神(3)DeNA(4)広島(5)ヤクルト(6)中日です。楽天にも忖度(そんたく)なし、厳しめの予想となりましたが、もちろん根拠があります。今季の楽天の展望を語ってもらいました。【取材・構成=古川真弥】
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評論家となり、初めての順位予想でしたが、非常に悩みました。こんなに苦しいものとは…(苦笑い)。1位には選手層が厚くなり、新庄監督の野球が浸透してきた日本ハムを挙げました。2位は昨季優勝のソフトバンクです。正直、この2チームが抜けています。問題は残り4チーム。どこが3位から6位になってもおかしくない。できることなら横一線にしたいぐらいでしたが、それでは順位予想にならないので、考え抜いて順位をつけました。
ですから、楽天も十分、Aクラス3位の可能性はあるとみています。では、なぜ5位にしたかというと、酒居、宋家豪の故障が痛い。酒居はトミー・ジョン手術で今季中の復帰はない。宋も右膝半月板の手術で、すぐには戻れそうにありません。もともと、先発よりもリリーフの方がそろっていて、継投で勝機をつかむチームです。鈴木翔や渡辺翔、藤平らが経験を重ね、西口も戻ってきたとはいえ、やはり経験豊富な2人の離脱は厳しいですね。
野手にも故障者が出ました。安田が右手骨折で数カ月は難しそうです。チームに足りない長打力を備え、オープン戦も好調だっただけに、悔やまれます。これも、予想順位を下げる要因になりました。
もっとも、故障者はどのチームも抱えています。逆に言えば、若手は出番を増やすチャンスと思って欲しい。その上で、投打のキーマンを挙げたいと思います。
まず、先発は当然ながら早川が軸になります。リリーフに離脱者が続いただけに、先発がいかに試合を作れるかが、一層大事になります。そこでカギを握るのは藤井とみています。昨季の11勝は大きな自信になったはず。ただ、もともと圧倒的な力で抑えるタイプではありません。緩急を駆使した配球はもちろん、投げる間合いも工夫して、6回を2、3失点にまとめるスタイル。今季も同じような数字を残せれば、さらに自信がつくでしょう。チームにとっても大きな戦力となります。
もう1人、ベテランの辛島にも期待しています。昨季は1軍登板なしで終わりましたが、今年は状態が良さそうです。円熟味を増した投球で出番が増えれば面白いですね。
野手は、何といっても浅村です。ここ数年は前半戦があまりよくありませんでした。開幕から順調に滑り出すことさえできれば、辰己、小郷、小深田ら中堅どころは脂が乗っているだけに、攻撃力が安定するはずです。
ドラフト1位ルーキーの宗山には、とにかく思い切ったプレーをして欲しいと思います。プロは結果の世界ですので、早く打ちたいと思うのは当然。ですが、結果ばかりにとらわれてもいけません。1年目ですから、縮こまることなく、当たって砕けろぐらいの気持ちで臨んで欲しい。攻守にいいものがあるのは間違いありません。1年間出続ける大変さも味わうでしょうけど、全てが経験です。
チームとしては、現実的にまずは交流戦まで勝率5割をキープしていくことを考えればいいと思います。もちろん、開幕ダッシュができるに越したことはありませんが、そううまくもいきません。上と大きく離されることなく、まずは交流戦まで、その次はオールスターまでといった具合に、粘り強く5割で戦っていければ、Aクラス、さらにその上が見えてくると信じています。(日刊スポーツ評論家)