
<オープン戦:オリックス2-1阪神>◇23日◇京セラドーム大阪
虎の新ミスターゼロ誕生だ。高卒3年目の阪神門別啓人投手(20)がオープン戦を防御率0・00で終えた。開幕前のラストゲームとなったオリックス戦(京セラドーム大阪)で6回途中7安打2失点(自責0)と粘投。阪神の投手では2011年久保康友以来となるオープン戦防御率0・00を記録した。開幕3戦目の30日広島戦(マツダスタジアム)で先発濃厚。安定感抜群の20歳左腕が、プロ初勝利の準備を整えた。
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開幕前最後の登板を終え、門別からは充実感が漂っていた。6回途中7安打2失点(自責0)。今春実戦初の失点にも、確かな手応えがあった。
「しっかり(ボールを)押せている中での失点。ランナーを出さないのが一番ですけど、出た時の対処法として今日は良かった。シーズンに入っても、ああいう投球ができるように頑張ります」
5回2/3を投げ、3者凡退は4回だけ。粘りの投球で後続の流れを切り、3つの併殺も奪った。2失点ともに失策が絡み、自責0だった。オープン戦は3試合、12回2/3で自責0。今春実戦は15日のカブス戦の5回完全も含めて7試合で計25回2/3を投げて防御率0・00だ。12球団を見渡しても際立つ安定感。20歳左腕は冷静にその要因を分析した。
「コントロールしたいところにできている。先頭を出すのはもったいないけど、出た時にしっかりゲッツーを取れたり、要所をしっかり投げられていると思う」
中6日で30日の広島戦先発が濃厚。本番を想定して打席にも立った。ただ、2回の打席ではカウントを勘違い。三振と間違えてベンチに戻りかけて照れ笑いを見せていた。5回1死二塁には送りバントも失敗。「(腰が)引けていた。もっとバント練習を頑張ろうと思いました」。反省も多いが、未来は明るい。
後輩からの刺激もあった。春のセンバツでは母校・東海大札幌が10年ぶりに白星。9回に1点差をひっくり返す逆転勝利で1回戦を突破した。「みんなでしっかり野球ができていた。次、もう1回勝ってほしいです」と笑顔でエールを送った。
藤川監督も「非常に良く映りましたね」と称賛した。託す開幕ローテの大役にも「段階を踏んで、ここまで来たと思いますね。彼らしくやってくれれば」と期待十分だった。高卒3年目の25年シーズン。待望のプロ初勝利へ、準備は整った。【波部俊之介】
▼オープン戦で規定投球回数を満たし、防御率0・00は23年の平良(西武)以来2年ぶり。阪神の投手では11年の久保以来で、阪神投手のオープン戦防御率1位もこのとき以来。