
<オープン戦:阪神6-0DeNA>◇7日◇甲子園
若虎の進化が止まらない。阪神前川右京外野手(21)が2試合連続となる先制2ランを放った。昨季日本一に輝いたDeNAのエース左腕東から進化の1発。オープン戦4試合目にして早くも3号で打率5割、6打点、8安打と「4冠」だ。チームは44年ぶりにオープン戦開幕から4試合連続2桁安打を記録。藤川球児監督(44)率いる新生タイガースが景気よく25年甲子園初勝利を挙げた。
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前川のバットから快音が止まらない。初回1死一塁、カウント2-1からDeNA東が投じた真ん中低めの135キロツーシームに体を少し沈めながら合わせた。打球は多くの虎党が待つスタンドに吸い寄せられるように伸びていき、右翼観客席横のポール際にズドン。待っていなかった球種で、左打者には不利と言われる甲子園での2試合連続弾を放ち、対応力の高さを見せた。
「スライダーを待っていたので、乗せた感じだった。打ててよかった」
昨年は右投手が先発する際のスタメン出場が多く、左投手との対戦は362打席中、わずか56打席。レギュラー定着に向けて大きな意味を持つ可能性もある左腕撃ちだ。手応えを感じたのは本塁打よりも第2打席。同左腕の外角低めボール球のスライダーを見逃した直後、外角低め直球を捉え、力強い打球は三遊間を破った。「追い込まれてツースリーまで持っていって、最後レフト前。あっちの方が評価していい」と力を込めた。
活躍が必須と決意している高卒4年目の進化が止まらない。今年初対外試合となった2月15日の練習試合楽天戦(宜野座)では変化球を本塁打。5日の中日戦(甲子園)では、逆方向にアーチをかけた。過去に1軍で放った4本の本塁打は、すべて直球を引っ張ったもので、ともに初パターンの1発だった。それでもまだまだ成長中。「開幕から戦う上で準備しないといけないことがたくさんある。満足していたら本当に終わっていく」とさらに気を引き締めた。
オープン戦は4試合に出場し16打数8安打の打率5割、3本塁打、6打点と活躍。打率、本塁打、打点、安打数で12球団トップの4冠だ。「打つことに越したことはないが、タイミング、構え方などがよくなっている。結果より、準備段階がしっかりできている」。開幕に向けて入念な準備を続け、さらなる進化を目指す。【塚本光】
▼阪神のオープン戦4試合連続2桁安打は、21年3月6日ソフトバンク戦から10日広島戦の4試合連続以来、4年ぶり。オープン戦初戦からに限ると、81年の4試合連続以来、44年ぶり。同年は米国アリゾナ州テンピでキャンプを行っており、同じく米国キャンプ中のヤクルトと4試合対戦した。