
第97回選抜高校野球大会(18日開幕)で3季連続の甲子園に臨む青森山田は、昨春8強、昨夏4強と全国に強さを示してきた。新チームの先発野手陣は、8人中5人が甲子園でのプレー経験があるというチームで、プレー未経験の3人が目をぎらつかせている。同期とともにグラウンドに立ち、先輩たちの代を超える春へ。それぞれが来たる甲子園へと意気込んだ。【取材・構成=浜本神威】
◇ ◇ ◇
チームの元気印が、甲子園でもナインを盛り上げる。新チームから左翼で出場を続ける葛西陽永(ひなた)外野手(新3年)は、モチベーターを担う。チームで一番明るいのはと聞くと、「僕です」と即答する。
自他ともに認める目立ちたがり屋だが、昨春も昨夏も、スタンドで同期の活躍を眺めるだけだった。「ずっと一緒にやってきた同級生の子たちが活躍しているのを見て、応援はしているんですけど、うれしさもあったけど、でも悔しさが一番大きかった」。
特に、前チームから存在感を放っていた佐藤隆樹、佐藤洸史郎の外野手コンビが刺激になった。チーム一の俊足は佐藤隆で、佐藤洸が続く。葛西は、30メートル走では佐藤洸よりも2歩、佐藤隆とは5、6歩ほど遅くゴールしていた。昨春以降、練習試合に出るようになってから「隆樹と洸史郎がめっちゃ足速いので、その2人と組むとなると浮く。外野は足が速くないと厳しい」とその差をより意識するようになった。危機感から練習のスプリントメニューに真剣に向き合い、今では佐藤洸とはほぼ同着。佐藤隆とも2歩ほどの差まで詰めた。
2人と並べるところまで来た。葛西は「本当にうれしい。緊張はすると思うんですけど、甲子園に慣れている2人が横にいる。僕は明るさが買われているところもあるので、自分らしさを忘れないように」と誓う。続けて「勝利に絡んでいけるようなプレーをしていきたい」。待ちに待った甲子園で輝きを放つ。