＜2軍教育リーグ：阪神－広島＞◇1日◇日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎
あるぞ開幕2戦目！ 阪神門別啓人投手（20）が、初の開幕ローテ入りにまた1歩近づいた。阪神2軍の新本拠地、兵庫・尼崎市の「ゼロカーボンベースボールパーク」内に新設された「日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎」が1日に開業。オープニングゲームとして開催された2軍教育リーグの広島戦で開幕投手を託された左腕が4回を0封し、今春実戦の無失点を4試合11イニングに伸ばした。中6日で回れば、開幕2戦目の29日に敵地広島戦で先発するプランが浮上。3年目左腕が2軍新球場記念日に大ブレークを予感させた。
◇ ◇ ◇
2軍新球場の開幕投手という大役にも、門別は堂々としたマウンドさばきをみせた。チケットは前売り完売で4178人が外野席まで埋めつくした広島とのオープニングゲーム。真っさらなマウンドに立つと、初回から威力ある真っすぐで若鯉打線を圧倒した。右打者3人を押し込んで力ない二飛に仕留めるなど、1軍ローテ候補が貫禄を見せ、大きな拍手に包まれた。
「3年目になって環境になじんできた感じはある。今年は本当に勝負かなと思っているので。頑張りたいなと思います」
4回を4安打無失点。キャンプ紅白戦からの実戦0封を4試合11イニングに伸ばした。藤川監督から春季キャンプMVPに選ばれた左腕が狙うはもちろん、3年目で初の開幕ローテーション入り。その表情は引き締まっていた。
「順調に真っすぐの状態を上げていくと、ローテもおのずと近づくと思う。まだオープン戦もたくさんあるので、しっかりアピールしていけたらと思います」
開幕ローテは、2年連続2桁勝利の大竹が下肢の張りで不透明な状況。村上や才木をはじめ右腕が多い中、左腕は貴重な存在で門別の快投は明るい光だ。この先も中6日で回れば、開幕2戦目の29日広島戦に当たる。伊藤将やデュプランティエらライバルも多いが、猛アピールが実れば、敵地マツダスタジアムに門別の名前が刻まれる可能性が出てきた。
始球式を務めた岡田彰布オーナー付顧問（67）の期待も大きい。「オープン戦である程度結果を出しとけば当然、すぐ名前がくるよね。まして左やしな。いいアピールできると思うよ、今年は」。始球式後にマウンド上で門別とガッチリ握手。「今年は勝たなあかんで」とゲキを飛ばした。
門別にとっては、入団から2年間指導を受けた恩師。昨季は「秘密兵器よ」とローテの一角を期待されたが、先発は2試合だけでプロ初白星もつかめなかった。「甲子園とか1軍の舞台で投げているのを見てもらうのが一番。今日がスタートだと思って頑張りたい」。恩返しへの決意を新たにした1日になった。
記念すべき新球場1戦目を託されたが、2軍の本拠地に変わりはない。「これっきりにしたいなと思います」。オープニングゲームでの快投を自信と力に、まずは一気に開幕ローテをつかみ取る。【波部俊之介】
◆ゼロカーボンベースボールパーク 地球環境に優しい「脱炭素」を掲げた阪神ファームの新施設で、阪神大物（だいもつ）駅から徒歩5分。メイン球場の「日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎」は甲子園と同じ方角、形状で両翼95メートル、中堅118メートル。内野席は鳴尾浜（約570人）の約6倍の約3600席、臨時外野席は800人収容できる。室内練習場は甲子園室内の約1・5倍で、打撃練習は鳴尾浜の3倍の6レーンある。ブルペンには最新鋭の分析機器が導入され、サブグラウンドも完備。3代目の選手寮兼クラブハウス「虎風荘」にはトレーニングルームや流水プールが設置され、サウナもある大浴場を完備。38選手の入寮が可能。
▽阪神粟井球団社長（2軍新球場の開業に）「感慨深い。お客さん、市民の方にも喜んでもらもらえる施設を目指していたので、よくここまでこられた。強いチームをつくっていけるか、これから我々にかかってくる。甲子園は100年かかって西宮に根を張らせていただいた。逆に甲子園より短い時間で尼崎市、関西地区のコミュニティーの一部になれたらうれしいです」
▽阪神及川（3番手登板し、3回を5安打1失点）「ストレートでカウントをつくれなかった。そこは今日大反省かな。こんなきれいな球場で1試合目に勝ちに行く話もされていて、ちょっと気持ちが入りすぎてしまった部分もありました」
