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巨人阿部慎之助監督(45)が21日、2年連続で戸郷翔征投手(24)に大役を託することを明言した。戸郷は昨季12勝(8敗)を挙げて4年ぶりのセ・リーグ優勝に貢献。実績十分の若きエースが3月28日のヤクルト戦(東京ドーム)のマウンドに上がることになった。一方で先発ローテ枠の残り5枚については未確定だとした。
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阿部監督が練習後の囲み取材で自ら切り出した。「開幕は戸郷でいくわ」。約1カ月後に迫る開幕戦のマウンドを2年連続で若きエースに託す。「去年もやってくれてるし、自分が引っ張っていくんだという姿も見られた」とキャンプ中の行動、姿勢から決断した。
戸郷本人には那覇入り後に伝えた。投手コーチも立ち会いの中で「今年も行くよ」と指名。「『(戸郷からは)頑張ります』と。いい緊張感持ってやってくれるんじゃないかなと思うしね」と“通達式”の舞台裏も赤裸々に明かした。
文句なしの実績で開幕投手争いを突っ走った。戸郷は「僕らは開幕に向けて合わせるだけですし、それが開幕投手なら一番ですしね」とすでに風格すら漂う。山崎伊、井上らの候補を抑え、指揮官も「本当にみんな頑張ってくれてたんでね。誰でもいけるんじゃないかなとは思ってたんだけど」と満足そうだった。
一方で開幕ローテの残り5枠はさらに激しい競争を促した。「それ(開幕投手)以外はまだ確定はしてないからね」とも付け加えた。現状では山崎伊、井上、グリフィンまでは決定的で田中将、西舘らが追走する。実績十分で復活を期すベテランと近未来を担う若手が入り乱れたサバイバルレースを繰り広げる。
22日オープン戦のDeNA戦(宜野湾)も戸郷が先発する予定。“ダブル開幕投手”を託された右腕は「1イニングなんでね。確認したいところもたくさんありますし、ただケガなく終われることが一番かなと思います」と話した。新球のカットボールの使い方、制度も確認事項の1つになる。昨季のクライマックスシリーズ(CS)で苦汁をなめさせられた“宿敵”を試金石にリーグ連覇へのスタート地点まで歩を進めていく。【為田聡史】