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ドジャースはバッテリー組に続き、15日(日本時間16日)に野手組が集合。本格的にキャンプが始まりました。メジャー契約の選手40人に加えて、マイナー契約の招待選手24人が参加。総勢64人から開幕メンバー26人に絞られるサバイバルレースです。
そんな中、デーブ・ロバーツ監督はキャンプイン早々、「山本が開幕に投げるだろう」と明言。メジャー2年目を迎える山本由伸投手が、3月18日に日本の東京ドームで開催されるカブスとの開幕戦に先発することが明らかになりました。
ドジャースで日本人が開幕投手を務めるのは03、04年の野茂英雄投手、09年の黒田博樹投手に次いで3人目となります。その中でも、昨年世界一に輝いたチームで大役を担うという、これほど投手にとって名誉なことはありません。
さらにロバーツ監督は、日本での開幕2戦目に、メジャー1年目の佐々木朗希投手登板に前向きな姿勢を明かしました。あらゆる可能性はありますが、キャンプでけがなく順調にいけば、日本でメジャーデビューが実現しそうです。
これは日本の人たちへのファンサービス以外にも、理由があります。今年は、19年の日本開催、昨年の韓国開催の3月20日を塗り替え、メジャー史上、最も早い日程で開幕を迎えます。例年スローペースで調整するベテランより、若手の山本や佐々木は仕上がりが早いからです。そういう意味では、とても理にかなった起用と言えます。
2年ぶりの投打二刀流復帰を目指す大谷翔平投手について、ロバーツ監督が12日、「オープン戦での登板はない」との方針を示しました。また、バッテリー組のキャンプ2日目にして異例の休養を与えるなど、慎重な姿勢を取っています。
そのうえ、今シーズンの先発登板間隔について「6日か7日ごとに投げるだろう。一番重要なのはいったん復帰したら継続することだ」とも語っていました。そうなると、今年5月ごろに投手として復帰しても、先発登板機会はせいぜい20試合か、それ以下に制限されそうです。そこには、一昨年まで大谷が在籍したエンゼルスとの戦力格差もあります。
エンゼルスは先発投手不足だったため、大谷がエースとしてフル回転しました。その点、ドジャースは大谷を無理して投げさせないように、ベテランのクレイトン・カーショーとも再契約するなど先発投手陣を豊富にそろえています。何より、大谷のけが再発防止に努めています。ここ数年ドジャースはけが人が続出し、2年続けて規定投球回に達した投手がいませんでした。昨年2度目の右肘手術から復帰したウォーカー・ビューラー投手も防御率5点台と振わず、オフにFAでレッドソックス移籍となりました。
過去2度の右肘手術を乗り越えた大谷は、31歳を迎える年齢も考えた上で、二刀流復活へ「最後のチャンス」という覚悟を示しました。そこで球団側も大谷に1年でも長く二刀流を継続してもらうために、慎重に慎重を重ねているように見て取れます。
エンゼルス時代を振り返ると、22、23年と前人未到の2年連続「2桁勝利&2桁本塁打」をマーク。特に、23年は本人が「投打のバランスがすごく良かった」と語っていたように、二刀流選手として最高のシーズンだった印象を受けます。
しかし、今後ドジャースでは二刀流を継続するにしても、投打五分五分でなく、投手より打者に重きを置くように感じられます。なぜなら、先日歴代本塁打王のバリー・ボンズ氏が打者専念を提唱したように、今チームが最も必要なのは1番打者大谷だからです。アンドリュー・フリードマン編成本部長が「彼と話し合いながらやっていく」と語っていたように、今シーズン大谷の起用法について注目したいと思います。
【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)