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小笠原慎之介、ナショナルズとの契約勝ち取る「答えを出すのはまだ早い」ギリギリまで動向見守り


中日ドラゴンズの左腕投手、小笠原慎之介がポスティングシステムを利用して、MLBのワシントン・ナショナルズに2年総額350万ドルで移籍することが決まりました。交渉期限ぎりぎりでメジャー契約を獲得した小笠原は、ナショナルズで背番号「16」を着用します。小笠原は高校時代から注目される選手でしたが、プロ入り後は左肘の手術を受けるなど困難な時期を乗り越えてきました。最近では米国で自主トレーニングを行い、球質改善に努めていました。ナショナルズは去年の成績が振るわず再建期にありますが、小笠原が新しい活気を与える存在になると期待されています。

小笠原慎之介(2023年12月撮影)

中日小笠原慎之介投手(27)がポスティングシステムを利用して米大リーグ、ナショナルズに移籍することが25日(現地時間24日)、決まった。ポスティング期限ギリギリで、AP通信によると2年総額350万ドル(約5億4300万円)のメジャー契約を勝ち取った。中日への譲渡金は70万ドル(約1億900万円)となる。東海大相模(神奈川)で2015年夏の甲子園を制し、プロ入りした左腕が、背番号「16」で新たなステージに進む。これで今オフにメジャーリーグ移籍を目指した選手たちの所属先が決まった。

   ◇   ◇   ◇

竜の左腕が、新たなステージへの切符を手に入れた。昨年12月中旬に始まったポスティング移籍の交渉期間。期限が迫る中「too early to answer(オファーが来た球団に答えを出すのはまだ早い)」と、代理人とともにFA権を持つメジャー選手の動向を見守ってきた。

交渉期限の3時間前。ナショナルズが球団の公式X(旧ツイッター)アカウントで発表した。今オフのNPBからポスティングシステムでのメジャー移籍のオオトリ。ロッテ佐々木はドジャース、阪神青柳はフィリーズとともにマイナー契約だったが、小笠原はメジャー契約を勝ち取った。

15年に東海大相模で夏の甲子園を制し、鳴り物入りで中日に入団したが、プロの壁は厚かった。プロ1年目の16年は2勝。オフに左肘の遊離軟骨除去手術に踏み切った。18年に球団最年少で開幕投手を務めたが、同年にも左肘にメスを入れた。20年は登板4試合に終わった。

「野球人生が終わる」と一時は覚悟したどん底からメジャー移籍を手に入れた。21年1月は、沢村賞左腕の先輩、中日大野の自主トレに参加。体と心を鍛え直した。同年に初めて規定投球回に到達すると、4年連続規定投球回をクリアした。

23年からは単独で米国自主トレを続けた。ポスティングシステムでの移籍を球団に認められた今オフは、米シアトルのトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」で投球フォーム、球質を分析。「僕は自分のやらなきゃいけないことを準備をしておく。(日本でも米国でも)野球をやることは変わらない」と目の前の課題に黙々と向き合った。同施設の公式X(旧ツイッター)では「2年契約おめでとう」と祝福され「新スイーパーを持ち球に加え、NPBからMLBへ乗り込む」と紹介された。

ナショナルズは昨季71勝91敗で、ナ・リーグ東地区5球団中の4位。19年のワールドシリーズ制覇後は、主力選手の流出などもあり、低迷中。日本人選手の所属は05年の大家友和以来、20年ぶりとなる。栄光と底辺を知る和製左腕が、新天地の光となるか。注目の1年になる。【伊東大介】

◆ワシントン・ナショナルズ 球団拡張の69年にモントリオール・エクスポズとして史上初めて米国以外(カナダ)に本拠地を置いて創設。経営難などにより01年にMLBの管轄下に入り、05年に首都ワシントンに移転し、現在のチーム名に変更。19年に地区2位からポストシーズンを勝ち上がり、初出場のワールドシリーズを制したが以降は低迷。エクスポズ時代を含め日本選手は伊良部秀輝、吉井理人、大家友和。本拠地は08年開場のナショナルズパーク。

◆ナショナルズの先発ローテ 昨季10勝を挙げた左腕ゴアと右腕アービンに加え、今オフはホワイトソックスから19年球宴選出の右腕ソロカを獲得。さらに通算50勝右腕ウィリアムズと再契約し、これに小笠原を加えた5人がローテ入りする見通し。オープン戦次第では、昨季デビューした左腕パーカーや右腕ハーツら若手が食い込む可能性もある。

◆ナショナルズでプレーした日本人 過去3人おり、前身のエクスポズ時代の00年、ヤンキースから移籍した伊良部が初めて所属。翌01年はロッキーズから吉井、シーズン途中の7月にレッドソックスから大家が移籍し、同時に3投手が在籍した。伊良部、吉井はともに2年で退団。大家は現名称のナショナルズとなった05年途中までプレーし、02年に13勝を挙げるなど5年で31勝した。

▽中日高橋宏(小笠原のナショナルズ移籍に)「(期間ギリギリで)さすがにひやひやしました。メジャー契約取ってくれたことは、いろんな人にとってプラスになると思う。どういう成績を残すのか楽しみ。あとは任せてくださいという感じで送り出したい。僕が先頭に立って引っ張っていけたらと思います」

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