<第97回選抜高校野球:選考委員会>◇24日
昨秋の近畿大会ベスト8の滋賀短大付が、創部17年目で春夏通じて初の甲子園出場が決定。07年度まで女子校だった愛称「シガタン」が、悲願をつかんだ。
小林昌彦校長(61)が午後4時過ぎ、大津市の学校内で練習していた部員に「甲子園の女神がたった今、シガタンにほほ笑みました。おめでとう」と報告。部員46人は抱き合い、喜びを分かち合った。
近畿地区6枠のうち、最後の6枠目での選出を争った。保木(ほうき)淳監督(39)は「可能性は0ではないが、低いと思っていた」とし、選手には「うちは間違いなく、出場32校で32番目のチーム。工夫と考える力で甲子園に臨んでいこう」と呼びかけた。
一方で取材に応じた指揮官は、一戦必勝が大前提ながら「甲子園では5回勝ちたい。5回勝てば優勝できる。その前提として、ロースコアの試合をすること」と、持ち前の守備力で接戦に持ち込みたい考えだ。
昨年10月の近畿大会では1回戦で、滋賀2位で出場した滋賀短大付が、大阪王者・履正社に4-1で逆転勝ち。準々決勝では1-4で天理(奈良1位)に敗れていたが、初の8強の自信を胸にひと冬を越えた。
主将の森伸文(しんや)内野手(2年)は「全員で力を合わせたい。(滋賀学園と県勢2校出場で)チャレンジできるのは2校だけ。この経験を無駄にしないよう、夏につなげたい」と意欲的だ。
16年で甲子園に導いた保木監督は、滋賀・高島市生まれで、県立安曇川(あどがわ)高では主将で捕手。2年春の県大会準優勝が最高成績で、進学した龍谷大で野球を離れた。
卒業後は1年間フリーターとしてコンビニで働き、09年に滋賀短大付に地歴公民の教員で呼ばれ、同時に野球部創部に部長でかかわった。最初の監督就任が12年夏から7年間、21年夏から2度目の監督就任となり現在に至る。
この日、選手から胴上げされた保木監督は「個の力が弱くても、チームワークで全国の舞台に立てる。シガタン野球を見ていただきたい」と意気込んだ。「甲子園出場までは独身」と公言していた指揮官は、愛情を注いできた部員たちと憧れの舞台に挑む。
◆滋賀短大付 1918年(大7)、大津市に「松村裁縫速進教授所」として創設された私立校。県内唯一の女子校だった「滋賀女子」から08年に現校名に変更され、男女共学に。翌09年に野球部を創部。建学の精神は「心技一如」。普通科のみで進学率約95%。現野球部員は46人。他クラブは陸上、女子バドミントン、女子バスケットボール部の活動が盛ん。主なOBはスノーボード女子ハーフパイプでバンクーバー、ソチ五輪代表の岡田良菜、女子プロゴルファー吉本ひかる。生徒数は713人(男子287人)。小林昌彦校長、秋山元秀理事長。