第97回選抜高校野球大会(3月18日開幕、甲子園)の出場32校が24日、発表される。昨秋東北大会4強の花巻東(岩手)は、残り1枠に入ることを信じ冬を過ごしてきた。
◇ ◇ ◇
吉報を待つ前日も、花巻東のグラウンドはにぎやかだった。雪がとけきらない中で、選手たちは威勢のいい声を出しトレーニングに励んでいた。中村耕太朗主将(2年)とエース金野快投手(2年)は「今日は眠れない日になりそうです」と緊張した面持ちで、声をそろえた。
昨秋の東北大会は準決勝で青森山田に敗れ、センバツ出場の当確ランプに1歩及ばなかった。中村は「甲子園経験者が多く、決してスタートが遅れたわけではない。全員が同じ方向を向けずに、ただ実力不足だった」と振り返る。長い冬が始まった。目標は「日本一」と定めた。主将として、グラウンド内外で常に部員全員の気を引き締める。練習では「1球1球、気を抜くな」。寮生活、食事面まで徹底し「センバツに選ばれる、日本一になる行いとしてふさわしいのか」と問いかけ、全員で同じ方向を向くようにした。
この1月までは個々のスケールアップに励む。それぞれの課題に打ち込むため、6班に分かれ練習。金野は球威を上げるため、ウエートに取り組む。デッドリフトは昨夏の150キロから185キロへレベルアップした。
いよいよ、運命の日。中村は「ちょっと不安はあるけど、とにかく選んでもらえるようなチームになろうとやってきた」と力強く言った。金野も「選ばれたい気持ちは強い。でも、どちらになっても、どんどん進んでいきたい」と前を向いた。【高橋香奈】
◆東北地区の選考展望 東北地区の枠は3。昨秋の東北大会を制した聖光学院(福島)と準優勝の青森山田の選出は決定的だ。残る1校は準決勝で敗れた花巻東(岩手)と山形中央の一騎打ちとなりそう。花巻東は東北大会で秋田商、鶴岡東(山形)と各県の1位校を撃破し、チーム力は高い。山形中央も岩手1位の一関学院に勝利。山形勢は3校全てが東北大会8強入りしており、山形3位でも侮れない。21世紀枠は全国9地区の候補から2校が、地域を限定せずに選ばれる。