starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

【高校サッカー】前橋育英一筋43年、山田耕介監督が重視する「人間力」恩師・小嶺氏の教え生かし


全国高校サッカー選手権決勝において、前橋育英が流通経大柏をPK戦で破り、7大会ぶり2度目の優勝を果たした。試合は1-1のまま延長戦を経て決着がつかず、最終的にPK戦で9-8となった。43年間前橋育英を指導してきた山田耕介監督が、選手たちへの熱い思いを語り、最後の勝利を祈った結果が実を結んだ。山田監督は選手の人間力を重視し、それがサッカーの成長にも繋がると考えている。彼にとって影響を与えた恩師の小嶺忠敏さんの教えを大切にしており、熱い気持ちで選手との向き合いを続けている。65歳の今でもピッチに立ち続ける姿勢と、高校サッカーに対する情熱は変わらない。

前橋育英対流通経大柏 胴上げされる前橋育英・山田監督(撮影・横山健太)

<全国高校サッカー選手権:前橋育英1-1(9 PK 8)流通経大柏>◇13日◇決勝◇国立

前橋育英(群馬)が7大会ぶり2度目の優勝を飾った。7大会前と同じカードとなったファイナルで、流通経大柏(千葉)と譲らず1-1。延長戦でも決着がつかず、両校で20人が蹴り合ったPK戦を9-8で制した。

   ◇   ◇   ◇

前橋育英一筋、就任43年目。さまざまな修羅場をくぐってきた名将、山田耕介監督(65)は目をつむり、祈っていた。「もうあれはお願いです、神様に」。勝負の明暗を分けたPK戦。祈りは届いた。「選手ために勝ちたいなというのがものすごいあって、選手はここまでやってきたんだから日本一にしたかった」。そう言って目を細めた。

信条とする本気の指導が結果に結び付いた。同点ゴールのMF柴野快仁が言う。「監督がすごい自分たち以上に熱い気持ちを持ってくれている。本当に最後のところは気持ちが大事というのが全員分かっていた。だから最後のところは気持ちで勝てました」。

サッカーをする上で大事にしていることは「人間力」を高めること。人間力とは考える力、他者や周囲への想像力だという。「人間力が身に付くことでサッカーもより成長することができる」。監督であり、教育者。4年前に退任したが学校長も務めていた。

指導者として貪欲に勉強する。パソコンでの試合分析を欠かさず、戦術の進化も自ら探るほどのサッカーマニア。7大会前の優勝以降、選手へのアプローチの仕方は変わった。「今の子どもたちは映像とかいろいろ見ていますし、理屈がすごい。そういう理屈、理論は大切ですけど、そうじゃない部分が勝負を左右するところなので」。人間力という大きな幹に、技術・戦術というサッカー要素をたっぷり絡めていく。その上で、心の中で大きな存在となっているのが小嶺忠敏さん(22年1月、76歳で没)だ。

長崎・国見高で全国選手権で戦後最多の6度の優勝、準優勝3度。言わずと知れた高校サッカー界を代表する名将だ。猪突(ちょとつ)猛進ぶりから「ダンプ」とも呼ばれた。山田監督にとっては主将を務めた島原商時代から続く、まさに恩師である。「高校3年間の影響が大きい。厳しかったですけど、愛情を感じられるものでした」。教えは今も生かされている。それは生徒との向き合い方だ。

「こちらに熱い気持ちがないと伝わらない。冷めているような話し方は絶対にしない。熱い気持ちを持って彼らと話して、こっちがもう本当に本気で向かっているんだと、普段のトレーニングもそういうふうにやってきました。こっちが本気にならないと向こうも本気にならない。小嶺先生は異常なほど本気でした」

同年代の指導者が身を引く中、65歳の今もピッチに立ち続ける。「疲れたし、2、3年前にはもうやめようかなと言ったこともあるんですけど、女房から『ばかじゃないの。あんた、そんなこと言ったって、サッカーなくなったら死んじゃうんじゃないか』って。あぁそうだな、って」。

小嶺さんは76歳で亡くなるまで生涯、ピッチに立ち続けた。その背中を追うのか、と問うと「それは無理だな」と苦笑い。OBの松下裕樹コーチらスタッフが整ったことも踏まえ「いつかはもうね。若いいいコーチがいるので。ただ現状は一生懸命やっていきたいかなと思います」。年齢だけで人は老いない。理想を持ち続ける男は、まだまだ高校サッカーと本気で向き合っていく。【佐藤隆志】

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2025
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.