<全国高校サッカー選手権:明秀学園日立1(5PK4)1帝京>◇2日◇3回戦◇U等々力
15大会ぶりの出場で日本一を目指した名門・帝京(東京B)が明秀学園日立(茨城)にPK戦で敗れ、16強で散った。
前半は拮抗(きっこう)した展開でスコアレスで折り返したが、後半開始直後にセットプレーの流れから失点。出足の鋭さやフィジカル的な強さを生かす相手のスタイルにてこずりながらも、後半29分に途中出場のFW土屋裕豊(3年)が得点を奪って追いついた。
PK戦ではその土屋が2番手で止められ、敗れた。OBで98年度大会に主将として準優勝を経験した藤倉寛監督(44)は、「今日はPKで勝ち上がりの勝敗は決まりましたけど、本当にあそこで追いつけた場面は、この大会を象徴するようなゴールだったような気がします。感心させられるようなプレーもありました」と意地を見せた選手たちをたたえた。
久々の選手権。チームの成長とともに、終戦をかみしめた。
「選手たちがいろいろな思いを持って1年間やってきて、本当駆け足のように進んできて、『あ、選手権に出るんだな』という感覚になって。で、スタートしてみたら開幕があって本当に駆け足に進んできましたけど、1回の敗戦で、一瞬でなくなるはかなさというか、大会に作ってもらってるものが一瞬で終わるというところを感じる時間です」
15大会ぶり。名門復活。伝統。革新。大会前からさまざまな言葉で注目された。それでも選手たちは地に足を着けて、ピッチ上で3年間の取り組みを表現した。らしさを失わず、開幕戦では終盤に追いつかれても直後に勝ち越し。2回戦は大量5得点と久々の大舞台で確かな存在感を残した。就任1年目の藤倉監督の目にも頼もしく映った。
「この大会規模もメディアの方たちも、スポンサーの方とか、あとはもう一番は自分たちの学校の応援団がバックについて、すごく自分たちの力に変えるのがうまかったなと思います。なんか高校生らしさを見せてくれたというか、そういう大会だった」
02年度大会以来、22年ぶりの選手権2勝。ここからさらに強くなる土台を作った。伝統のカナリア軍団がまた全国の舞台に戻ってくる。【佐藤成】