日本ハム新庄剛志監督(52)が信じた日本一への航路、来季続投を決断した試合とは-。29日、CSフジテレビONE、FODで放送、配信されたドキュメンタリー「球界のアンチテーゼ~新庄剛志と北海道日本ハムファイターズ『3年目の約束』~」の後編が放送され、新庄監督がファイナルステージで敗退したCSを振り返った。
日本一になるために、エース右腕をファーストステージで起用せず、あえて1勝のアドバンテージを持たれているソフトバンクとの初戦にぶつけた。この構想はCS進出が決定した9月26日の時点で、番組のカメラの前でも話していた。
「クライマックス(ファーストステージ初戦)の先発に普通だったら伊藤君…こっち(ファイナルステージ)なんですよね。ソフトバンク戦の1戦目に伊藤君を持っていきたいんですよ、僕は。(リーグ優勝のアドバンテージで)1勝、向こうにあるじゃないですか。ここで伊藤君で勝ってイーブンで、さあその後の日本シリーズに向けての戦いは、ここがポイントなんですよ、僕は」
2敗したら敗退となるファーストステージで、エース伊藤を温存する新庄監督案と、投手コーチが描いていた案は食い違っていたという。
「でも、ピッチングコーチに聞くと、ここ(ファイナルステージ初戦)じゃないんですよ。やっぱり、こっち(ファーストステージ初戦)勝たないと、ここに行けないでしょって考えなんですよ。違うんですよ。だって僕たちのゴールは日本一という港なんで、もうそこしか目指してないです。そういう運命なんで、僕は。そうなるんです。そう思えば、なるんです」
新庄監督らしいビッグボス思考でシナリオを描き、CSファーストステージも突破して順調に日本一へ向かっていたが、肝心のCSファイナルステージ初戦でエース伊藤はソフトバンク打線の前に屈した。
「伊藤君には、あの負けた夜、『この負けは一生忘れるな』というメッセージは送りました」
チームはソフトバンクに3連敗で敗戦。今季が終わった。CSファーストステージを勝ち上がったところまでは「完璧」と振り返った新庄監督は、意外なタイミングで続投を決断していた。
「伊藤君で負けて、2戦目も負けて…。もうベンチの中で、表情には出ていなかったんですけど、もぉ~…今シーズン2位で終わったとか、どうでもいいと。この仕返しは、もう来年したろうと。というところで、ソフトバンクの2戦目に、来年やろう、という気持ちにはなりましたね」
もし日本シリーズに進出していたら、退任するつもりだった。
「日本シリーズに行ったら優勝関係なく、次の監督に渡していましたね。それぐらいの気持ちで3年間やったので。正直、4年目のモチベーション、どう戦っていいかは分かっていないです。計算していなかった。3年計画だったので。僕のストーリーは、クライマックスに出て、日本シリーズに行って優勝してユニホームを脱ぐっていうストーリーを描いて、そのまま行っていたんでヨシヨシと思ったら…ね、ファイナルで負けて。その時に凡人だなって、まだ。まだまだ凡人だなって。思い描いたとおりに行かない。まあ、それも人生愉しい。4年目のシーズンをかわいい選手たちと一緒に野球ができるという喜びはあります」
“想定外”のシナリオを描くこととなった25年シーズン。愉しむことに変わりはない。続く大航海で今度こそ、日本一という港を目指す。