淡路島コンビがG倒に全力を注ぐ。阪神近本光司外野手(30)、村上頌樹投手(26)が28日、故郷の兵庫・淡路市でファンを集めて自主トレを公開。今季も3年連続5度目の盗塁王を獲得したリードオフマン近本は巨人へFA移籍した甲斐を警戒した。村上は母校・智弁学園(奈良)の先輩である宿敵の主砲岡本和を来季も封じ込め、Gキラー襲名を目指す。
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地元淡路島でメラメラと闘志が湧いた。3年連続5度目の盗塁王を獲得してもなお、近本は目の前の塁を陥れるために思考をめぐらせていた。プロ6年間で積み上げた盗塁は168。来季は通算200盗塁を見据える中で、最大のライバル巨人に甲斐がソフトバンクからFA加入。虎の韋駄天(いだてん)が意識しないはずがない。
「(盗塁は)キャッチャーが大きく影響するところがあるので。そういうところで走る時に懸念する1つでもあります」
今季、警戒を強めた捕手としてDeNA山本、巨人岸田の名前を挙げる。WBC、五輪などで侍経験がある球界を代表する捕手となると、一段と警戒心は強まる。「得意意識はないです。失敗もしてるので」と話すが、23年6月18日のソフトバンクとの交流戦(甲子園)では、甲斐から2盗塁を決めている。これまで交流戦でのみ対戦だったが、来季からは同一リーグで何度もマッチアップすることになる。“矛”と“盾”の勝負が試合の行方を決めるポイントにもなり得る。
今オフのテーマに掲げるのは「コンディションをしっかり作ること」。この日の自主トレでは開始から約30分、トレーナーの指導の元、入念にストレッチなどを繰り返した。「技術的なことよりも、まずはコンディションがすごい大事だと思う」。今季戦い抜いた体をケアしつつ、来季へ向けて、体を作り直していく。
活躍する原動力は故郷から届く熱いエールだ。「(応援が)僕の力の源になっているので。淡路島やファンの方に貢献することがモチベーションにつながると思います」。大型補強を進めた宿敵に負けられない。虎のリードオフマンは故郷への思いを胸に、来季も貪欲に次の塁を狙っていく。【山崎健太】
◆阪神近本が甲斐から1試合2盗塁 23年6月18日ソフトバンク戦(甲子園)で、移籍前の甲斐から2度盗塁を試みてどちらも成功させた。3回2死一塁では初球から、5回2死一塁では3球目に二盗を成功。両場面ともに0-0と先制点が欲しい場面で甲斐キャノンをかいくぐり盗塁を決めた。得点にこそ結びつかなかったが、足でかき回した。
◆淡路島(あわじしま) 兵庫県に属する島。面積は595・63平方キロメートルで、東京23区とほぼ同じ広さ。3市からなり、人口は約12万3400人。大鳴門橋で徳島・鳴門市と、明石海峡大橋で兵庫・神戸市と結ばれている。タマネギや淡路牛、線香、かわらなどが特産品。02年のサッカーW杯日韓大会では同島の東浦町でイングランド代表がキャンプを張り、ベッカムフィーバーが起きた。淡路島生まれの著名人は、近本と村上のほかにも、タレントの上沼恵美子や俳優の故渡哲也さんらがいる。
○…阪神近本と村上が12月27、28日の2日間、地元の兵庫・淡路市内で「公開自主トレーニングイベント」を開催した。午前中はトークショーを行い、午後からは自主トレを公開。終盤では子どもたちとトレーニング体験で触れ合った。近本は「これまで以上に子どもたちがたくさんいたので、それが僕自身とてもうれしかった」と笑顔。2日間で合計約2500人のファンが訪れ、村上は「こんなに来るんやと思うぐらい(昨年より)増えたんでビックリしました」と喜んだ。