<全日本大学サッカー選手権:東洋大1-0新潟医療福祉大>◇28日◇決勝◇栃木グリーンスタジアム
東洋大のエース、東京ヴェルディへ加入するMF新井悠太(4年=前橋育英)が自らのゴールで初優勝を決めた。
前半35分に相手のバックパスをかっさらいGKと1対1となったFW村上力己が倒された。これで得たPKを同37分に冷静にゴールに蹴り込んだ。
この得点場面だけでなく、左サイドから果敢にドリブルで仕掛けたり、サイドバックの山之内佑成との好連係から相手の守備網を振り回すなど攻撃のキーマンとなった。
日本一とともに大会MVPも獲得。「全員の力が本当に一つにまとまった大会だった。出ているメンバー全員が試合を重ねて成長を感じられた。本当に優勝で終わることができて良かった」。言葉は満足感にあふれていた。
大学2年時から東京Vの強化指定選手となり、Jリーグの公式戦にも出場。突破力は常に注目されてきた。さまざまな経験を経てプレーの幅も広がり、周りを使うプレー、パスのうまさも光る。
そして日本一のタイトルを手に、年明けからは東京Vのプロ選手として舞台を移すことになる。
「日本一になったからと行って、必ずしも活躍できるわけではない。そういった面ではフラットに、自分もしっかりやっていければ。チャンスはあると思うのでおごらずに頑張りたい」
既に東京Vの活動にはこれまでも参加しているため、状況はよく分かっている。16年ぶりのJ1で6位と躍進し、その主力選手がほぼ残った。さらに補強も進んでおり、試合ピッチに出るまでの熾烈(しれつ)な競争が待っている。
「プロになるからには競争は当たり前ですし、自分が出ていた時も競争がなかったわけじゃない。まずは使ってもらえるような選手になることが重要かなと思います」
城福浩監督は攻守両面で走る、闘うというベーシックな部分を強く求める。
「本当に攻撃だけでなく、守備でスプリントバックして、ちゃんと(自陣に)帰って球際も闘う。城福さんの言うように、うまい選手が闘えるようになるのが一番なので。そういった面では自分のレベルは上がります。その中で自分のストロングポイントを出せるようになれればいいかなと思います」
前橋育英高時代の同期、明治大FW中村草太はサンフレッチェ広島へ、同じ東洋大の稲村隼翔はアルビレックス新潟へ進む。
「やっぱり自分たちは(高校時代に)選手権に出られなかったという悔しさがある。それが大学に来て、やらなきゃいけないという気持ちになったんじゃないかと思います」
大学サッカーという最高の鍛錬期を経て、これからプロとして本当の勝負に打って出る。その覚悟はできているようだ。