ジャイアンツの「55」で、日本を代表する選手になる。来春から筑波大に進学する花巻東(岩手)女子硬式野球部の佐々木秋羽内野手(18)が、読売ジャイアンツ女子に入団。27日、花巻市内の花巻球場で決意を表明した。巨人の「55」といえば、メジャーでも活躍した松井秀喜氏(50)が背負ったレジェンドナンバー。松井氏や兄の米スタンフォード大・佐々木麟太郎内野手(19)のような長打力を身につけ、持ち味の快足を最大限生かす選手を目指す。
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伝統球団のユニホームに袖を通す重みは、すでに理解していた。佐々木秋は「ジャイアンツのユニホームは男女一緒。袖を通してプレーできることに誇りを持って、自信を持ってプレーしたい」と胸を張った。背番号は「55」。目の前で見た一流の背中に刻まれていた番号が空いていると知り、志願したものだった。
9月23日、高校野球女子選抜の一員として、イチロー氏、松井氏、松坂大輔氏のいる「イチロー選抜KOBECHIBEN」と対戦。その時の松井氏の打席を鮮明に覚えている。
「セカンドを守っているときにとてつもない打球が飛んできた。もう打球が見えなくて! 一流の選手はやっぱり違うんだなと感じました。野球選手としても、人間性にもひかれて、松井秀喜さんの55番を背負いたいなと思いました」
持ち味は50メートル走で6秒4の快足。松井氏のような長打力が身につけば、走力もさらに生きる。「鋭い打球や長打を打てる選手になりたい。松井秀喜さんのように、『55』を背負って活躍できるような選手になりたいです」。覚悟は十分だ。
松井氏への憧れとともに、悔しさも残った。「『麟太郎くんの妹だよね』と声をかけていただいた」。兄や花巻東を率いる父・佐々木洋監督の影響で、自身が知られていることも多い。「父や兄の名を使ってみんなに知れ渡ってるのは、正直悔しい」。
兄は海を渡った。ならば海の向こうに「秋羽」の名を届けるまで。「もっと自分の実力をつけて、今度は『秋羽の兄』麟太郎と、逆の立場でみんなに知ってもらえるように頑張りたい」。大学生との「二刀流」で、大きく羽ばたく準備はできている。【浜本神威】