東都大学リーグ4年生の進路が、ほぼ決まった。中大・深浦幹也投手(4年=福岡大大濠)は、来年から活動を再開する日産自動車に就職が内定。
2年直前の3月にトミー・ジョン手術を受け、リーグ戦登板はわずか1イニングも、将来性を評価されて野球部入部も決まった。未完の大器が、社会人野球で勝負をかける。
今年、春季リーグ戦での1イニングを忘れない。4月17日、国学院大2回戦。6点リードで迎えた9回、4番手としてマウンドに立った。清水達也監督(60)に「真っすぐを貫いてこい!」と背中を押され、自信のある真っすぐを投げ込んだ。2死から四球で走者を許したが、最後は一ゴロに仕留め試合を締めた。13球中、変化球は初球のスライダーのみで、残りはすべて140キロ超の真っすぐ。最速は148キロだった。「もうちょっと投げたかった」。初めての神宮のマウンドを楽しんだ。
高校時代はオリックス山下舜平大投手(22)、日ハムドラフト6位の法大・山城航太郎投手(22)とチームメート。投手で入学も2年で左肘を痛め、3年時は外野手だった。中大入学後、清水監督の勧めで投手に復帰したが肘の痛みが再発し、1年が終わる3月にトミー・ジョン手術を受けた。「もう1度投げたかった。球速を出せる自信がありました」。3年秋に復帰すると年末年始も練習に没頭した。「充実した毎日でした」。2月のオープン戦で140キロ超えの真っすぐを投げ込み、復活をアピール。日産自動車野球部の伊藤祐樹監督(52)の目に留まり入社を決めた。
「野球人生、最後は投げて悔いなく終わりたかった」。諦めない気持ちが道を切り開いた。「舜平大と山城の活躍は刺激になる。いつか同じ舞台に立ちたい」と、夢は広がる。スポットライトを浴びるその日まで、深浦は歩みを止めない。【保坂淑子】