巨人から海外フリーエージェント(FA)権を行使し、メジャー挑戦を表明していた菅野智之投手(35)が16日(日本時間17日)、オリオールズと契約合意した。米報道によると、年俸1300万ドル(約19億5000万円)の1年契約。ポスティングシステムでのメジャー移籍を目指した20年オフは契約合意に至らず、4年ぶりの再挑戦で好条件の契約を勝ち取った。35歳のオールドルーキーとして夢舞台のスタートラインに立った。
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夢の扉を開いた。菅野がオリオールズと1年契約を結んだ。球団の公式X(旧ツイッター)も「オリオールズへようこそ 菅野智之投手」と日本語で投稿。AP通信によると、1300万ドルの年俸以外にオールスター選出で5万ドル(約750万円)、ワールドシリーズMVPで10万ドル(約1500万円)など総額35万ドル(約5250万円)のボーナスも付いた。先発ローテの一角として期待を寄せられる。
東海岸に位置するボルティモアが本拠地のオリオールズは、ア・リーグ東地区に所属。過去に日本人は上原浩治、和田毅、藤浪晋太郎が在籍した。今季は91勝71敗でヤンキースに次ぐ2位で、2年連続でポストシーズンに進出した。ジャッジを擁する名門ヤンキース、吉田正尚が所属するレッドソックスと同地区。ア・リーグ最多本塁打記録を持つスラッガーや日本人対決にも注目が集まる。
何事も突き詰めて、本質に向き合ってきた野球道。漠然としたもの、抽象的なものを嫌う。人は時には弱気にも不安にもなる。ただ菅野はメンタル面の最大の解決策も技術と考える。「目に見えないもの。不安とかも緊張とかも好きじゃない。技術を磨けば、相手を圧倒できれば、いかなる時でも自信を持っていける」。その信念を貫き、輝かしい実績を積み重ねてきた。昨季の4勝から復活した今季は15勝で4度目の最多勝を獲得。ベテランの域に入る中でネガティブな声を結果で黙らせた。新たなステージを切り開いた。
米メディアでは、菅野の獲得候補にエンゼルス、パドレス、カブス、ジャイアンツなどの名前が挙がっていた。その中で今季15勝右腕のコービン・バーンズが流出する可能性が浮上し、先発の補強が急務だったオリオールズが新天地に決まった。35歳の挑戦が始まる。「SUGANO」の名を世界にとどろかせる。
◆オリオールズの予想先発ローテーション 今季15勝のエース右腕バーンズがFAで去就未定。エース格となりそうなのは今季レイズ、オ軍で合計10勝、通算62勝の右腕エフリン。2番手は今季、メジャー2年目で自己最多の13勝を挙げた右腕ロドリゲス。3番手を菅野と争いそうなのが、今季8勝で23年は13勝の右腕クレマー。5番手には今季メジャーデビューして3勝を挙げた、唯一の左腕ポビッチが入りそう。19~21年にヤクルトに在籍したスアレスも、今季は自己最多の9勝を挙げている。