ドジャース大谷翔平投手(30)が10日、複数のメディアによる28分間の合同インタビューに応じた。11月5日に手術した左肩のリハビリは順調のようで、打者としてはバットのスイングが出来る状態ではないものの、投球練習では球速70マイル(約113キロ)を計測。25年3月18日と19日に東京で開催されるカブスとの開幕シリーズでは打者出場の見込みだが、二刀流の復活に加え、26年3月のWBC出場についても参戦意欲を示した。
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オンラインによる合同インタビュー。大谷の表情は見えない。だが、口ぶりはなめらかで、声のトーンだけでも充実感が漂っていた。開始12分過ぎ。激動の24年シーズンを漢字一文字で表すなら? との質問に「久々にその質問、来ましたね。ふふふ」と笑った。瞬時に、いろんな出来事が駆け巡ったに違いない。
「えー、なんだろう。優勝の『優』でもあり、1番の『一』でもあり、50-50の『五』でもあり、たくさんあるんですけどね」
リーグ優勝、ワールドシリーズ制覇、前人未到の50本塁打-50盗塁達成…。最終候補3つから、今年の大谷翔平の漢字を決めた。
「『一』じゃないですか。優勝の1番になったこと、移籍1年目だったことと、という感じですかね」
成し遂げたことや結果はシーズン終了後に振り返るのが大谷の流儀。一方で、すぐに来る年に向けての先を見据える。2度目の右肘手術から、来季は二刀流復帰を目指す。ロバーツ監督ら首脳陣は、来年3月の開幕は打者出場を見据える。
「(二刀流復帰が)開幕というのが選手としては一番早いところ。そこに焦点を当てたいと思っていますけど、再発防止も兼ねて慎重にいかないといけない部分も、やはりあると思う」
思いの裏には、二刀流継続への強い気持ちがある。
「年を重ねていくにつれて、もっともっと体の違和感とか技術、視力の低下は訪れる想定でいないといけないと思うので、そこを想定しつつ、かたや今できるパフォーマンスをしっかり上げていきたい。自分の中では二刀流というのを今までやってきて、長く続けたいという思いはあるので。ただ、どちらかにせざるを得ないタイミングがもし来たとしたら、どちらにしても対応できる準備というのをしっかりしておく必要があるのかなと思います」
未来を描きながら、最悪を想定する。継続的な投打二刀流をイメージする上で、すでに3度目の手術の可能性まで頭に入れている。
「現実的に3回目を受けるのが、希望としては5年以上延びて欲しいと思っているので。年齢的に35を過ぎたあたりで3回目の手術をして、復帰に1年をかけて、という領域に入っていくのが正しい選択なのか、その時の自分のコンディショニングによると思うので。現実的に見れば、2回目ぐらいまでが投手としては理想なのかなと」
前向きに物事を捉えながら、リスクに備え、柔軟に対応する。数々の苦難を乗り越えてきた大谷の生き方なのだろう。その上で、日の丸を背負って戦うことには、変わらない強い意欲がある。26年3月には第6回WBCが控える。
「呼んでいただけるのであれば、もちろん出場するのは昔からの目標ではあるので。コンディショニングによると思うんですけど、何回だろうと出場したい」
世界一をつかむ-。個人としてもチームとしても、「一」番を目指す気持ちが揺らぐことはない。【斎藤庸裕】