“新庄流アプローチ”を貫き、さらに飛躍する。日本ハム水野達稀内野手(24)が10日、球団事務所で“大トリ”の契約更改交渉を行い、2050万円増の3000万円でサインした。今季は指揮官からの「追い込まれたら当てるだけでいい」という助言もありブレーク。遊撃に定着し、新庄体制初のCS進出に貢献した。来季も指揮官の教えにならい、リーグ優勝と日本一、ケガで辞退した球宴初出場も見据える。(金額は推定)
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道を開いてくれた指揮官を日本一にする。水野は今季、自己最多105試合に出場し、プロ1号を含む7本塁打、自己最多37打点と躍進。リーグ2位の三塁打8本と、俊足と長打力を生かし、6年ぶりCS進出の原動力となった。「人生が変わる1年だった」。来季へ向けても「ボスを日本一にしないと。1勝のアドバンテージの大きさも分かった。次はリーグ優勝して日本一になりたい」と誓った。
指揮官から、開幕前に万波と2人“レギュラー手形”をもらい、打撃面では「追い込まれたらパワーがあるから当てるだけでいいよ」と助言を受けた。10月のCSファーストステージ第3戦では、2ストライクと追い込まれてから粘り、同点の7回に値千金の勝ち越し三塁打を放った。「すごくコンパクトに振って、意外といい時ぐらいの打球速度が出た。これでもいけると思った」。新庄イズム継続で来季は「規定打席、2ケタ本塁打、三振率を下げる」と目標を掲げた。
逆にこのオフは、遅いボールを捉え、自力で強い打球を飛ばす取り組みを続けている。「シーズン中は投手のボールが速いので、それなりの打球を打てるので」。そのため、球団にはやや制球力が落ちてきた“遅球マシン”を「直してほしい」と要望した。
8日の新入団会見で、野球漫画『ドカベン』の登場人物と重ね“リアル殿馬”と称されたドラ5山県の守備を、新庄監督が栗山CBOに「水野君とどっちがうまいですか」と尋ねる場面があった。水野は「あまり気にしてないです。守備も負けたくないですけど、バッティングでまず圧倒したい」。ひたむきに長打力を磨き、定位置を守り抜く。
6月21日の楽天戦の走塁中に右足を負傷し離脱。初選出されていた球宴を辞退も「来年以降のモチベーションになった」。連続で結果を出し、リベンジ球宴も引き寄せる。【永野高輔】