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なぜ起きた?現役ドラフト“取られ損” 広島初2巡目指名も日本ハムは獲得せず 改善点は?/解説


2024年、広島カープから指名された日本ハムの鈴木健矢投手(26歳)が環境を変えるため移籍。現役ドラフトは選手の移籍を促進する目的で導入され、今年は初めて2巡目指名が成立したが、日本ハムは指名を棄権し「1増1減」となった。2巡目で指名が成立しにくい要因として、参加希望球団の最終確認を行い、指名権を得る順番が逆転することが挙げられる。もっとも、人気選手を放出する球団は2巡目参加動機が減るため、ルール改善が求められる。NPBの議長もその改善の必要性を示唆した。

現役ドラフト2巡目で広島から指名された日本ハム鈴木健矢(2024年撮影)

現役ドラフトにより、2年続けて3人のドラフト1位選手が移籍する。

ドラ1でも伸び悩んでいれば環境を変えてあげようという球団の親心か。あるいは人気選手を出して、より上の指名順を狙う思惑か。どちらにせよ、制度が浸透してきた。今回は開催3年目で初めて2巡目指名も成立。日本ハム鈴木健矢投手(26)が広島に移籍する。その結果、広島は支配下選手の数が1増、日本ハムは1減となる。日本ハムは“取られ損”の形となったが、なぜ、このようなことが起きたのか? 改善点は? NPB担当記者が解説する。

   ◇   ◇   ◇

2巡目指名は1巡目終了後、希望球団が複数あれば行われる。過去2回でも希望球団はあったが、指名は成立しなかった。2巡目指名の流れは、こうだ。

(1)参加希望球団が出そろったら、各球団は改めて参加するか確認を取られる。他球団の参加状況などから「やっぱりやめます」もOK。

(2)確認の順番は、1巡目の実際の指名順の逆。

(3)最終的に2巡目参加球団が確定。指名は1巡目の実際の指名順の逆でスタート。指名された選手を出した球団に指名順が移る。以下の流れは1巡目と同じ。

(4)参加球団は指名順が回ってきた時点で指名を棄権できる。棄権した球団の選手は指名できない。

途中棄権が可能なことが1巡目指名との大きな違いだ。日本ハムは広島に鈴木を指名された後、指名順が回ってきたが、指名を棄権したことになる。そのため「1増1減」が起きた。

会議は非公開のオンラインで結果のみ発表のため推測するしかないが、考えられるパターンは複数ある。

(A)広島、日本ハム以外にも1以上の球団が2巡目に参加を希望した。最終確認を取られ、広島、日本ハムは参加続行を表明。ところが、日本ハムの後に確認を取られた球団が降りた。日本ハムはその降りた球団の選手が欲しかった。

(B)2巡目指名が実際にスタート。ところが、日本ハムの意中選手のいる球団が、先に指名を棄権した。

(C)日本ハムは始めから選手を1人減らす、あるいいは鈴木を他球団に移籍させるために2巡目指名に参加した。

(A)、(B)なら、日本ハムは当てが外れたことになる。ルール上は(C)も可能で、広島からすれば「1増」は想定外だったかもしれない。

いずれにせよ、2巡目指名が成立しづらい要因に、指名順の問題があるのではないか。1巡目は人気選手を出した球団ほど先に指名できる可能性が高まる。2巡目はその逆順ということは、不人気選手を出した球団ほど先に指名できるというパラドックス的な現象が起きる。そうなると、人気選手を出した球団は2巡目に参加する動機が減る。議長を務めた日本野球機構(NPB)の保科法規部長も「その側面はあるかもしれない」と認めた。今後の改善点と言えそうだ。【NPB担当=古川真弥】

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