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日本ハムと育成契約を結んだ前楽天の清宮虎多朗投手(24)は11月28日に行われた入団会見で「まずトライアウトを受けることを決断するまでにちょっと時間がかかって…正直、受けたところでNPBには戻ることは難しいと思っていて」と本音を漏らした。
今年8月にNPBとプロ野球選手会の事務折衝の中で、今後の12球団合同トライアウトのあり方が話し合われた。NPB側からは「編成は普段から他球団の選手を見ており、トライアウトで獲得を決めることはない」という趣旨の率直な意見が出されていた。
そこから約2カ月後の10月5日。清宮虎は楽天から戦力外通告を受けた。NPBでの現役続行が希望も「本当に話がなかった。それだったら受ける意味があるのか」と悩んだ。
海を渡ることも視野に入れていた。最速161キロ右腕には「(米国の)3、4チームぐらいからマイナー契約の話がありました」。それでも第一優先はNPB。オファーを待ちながら練習する中で「状態がシーズン中よりも良かった。シーズンとは違うところを見せたかった」とトライアウト参加を決意して参加投手で最速154キロをマーク。「トライアウトで獲得を決めることはない」という“前評判”を覆して1/45という狭き門をくぐり抜けた。
清宮虎のように再チャンスをつかむ選手がいるのであれば、トライアウトに意味はある。ただ現行の仕組みでは合格率2%。新たな枠組みを、NPBやプロ野球選手会も模索しているはずだが、妙案がなければ、トップ選手だけでなく、大化けの可能性がある人材も資金力、受け皿もたっぷりな米球界へどんどん流れてしまうかも…と感じた。【日本ハム担当=木下大輔】