岩手から世界に-。メジャーリーグで活躍する菊池雄星投手(33=アストロズFA)が17日、故郷の岩手・花巻市にプロデュースした野球複合施設「King of the Hill(KOH)」のオープニングセレモニーに出席した。今季途中まで在籍したブルージェイズの施設も参考に世界最先端の機器を導入。ブルペン、打撃レーン、ウエートルーム、サウナも完備される。ベーブ・ルースのサインボールなど展示エリアも設置。本物に触れ、夢をかなえる場所となる。
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無限の夢へと挑戦する全天候型施設「KOH」に足を踏み入れ、菊池は気持ちを高ぶらせた。5年ほど前から議論を始め、2年前から本格的にプロジェクトを開始。オンラインで打ち合わせを重ねながら、打撃レーン、ブルペン、最新設備がそろった国内最大級の野球複合施設が完成した。
「自分の思い描いたことがしっかり反映されてますし、ここなら、僕自身も練習が存分にできますし、選手、保護者、地域の方々にも価値のある施設だと言ってもらえると思います」
菊池自身もシーズンオフの日本帰国中に自主トレで使用する。「野球は夏のスポーツだと思われがちですが、冬のスポーツだと思っていて、冬にいかに練習するかでシーズンの結果が決まってくる」。シーズンに向けた大リーガーの本物の練習は、他の選手、子どもへのメッセージとなる。
「自分の能力に制限をかけるのは、いつも自分だなと。子供たちに触れることで、メジャーリーガーをすごく身近に感じてもらって、雄星さんができるなら自分もできるっていう思いになってほしいなと」
胸には、故郷への恩返しと亡き父との約束がある。花巻東3年春のセンバツで準優勝を達成した時に受けた温かい声援への感謝を忘れず「いつか時が来たら、何かしらの形で」と決意。19年3月に亡くなった父からは「最後会った時に米国で活躍しても、岩手の皆さんのことを大切にしてねと。それがずっと頭の中にある」と思いを語った。
短期ではなく、長期で夢をサポートする。オフになるたび野球教室などイベントに参加したが、触れあえるのはわずかな時間。「イベントとしては素晴らしいですが、『すごかったね』とか、ある意味、打ち上げ花火的な。きれいだけど、一瞬で消えてしまうというような気持ちがあった。拠点となる場所を構えることで、長期的に選手と向き合えると思うので、子供たちと向き合って、成長を見守っていきたいです」と夢を描いた。【久保賢吾】