阪神坂本誠志郎捕手(31)が13日、今季初取得したFA権を行使せずに残留することを正式表明した。
球団と4年契約で合意し、推定年俸は3000万円増で、初の大台到達となる1億円プラス出来高払い。訪れた甲子園の球団施設で取材に応じ、リーダーの「覚悟」を口にした。
前日12日、かつてバッテリーも組んだ藤川監督に電話で報告。「責任を持ってやります」と伝えると「覚悟を持ってやろう」と熱い言葉をかけられた。阪神の投手力は来年も健在。生かすも殺すも、捕手がポイントになることは間違いない。坂本は「捕手がしっかりしていれば勝てると、ずっと感じている。その責任が出るという僕の思いです」と説明した。
秋季キャンプ中の安芸で連絡を受けた指揮官も「捕手だからグラウンド上の監督の代わり。リーダーシップを持って、プレーの中で発揮してくれる選手。心強い選手が残留してくれてうれしい」と重要パーツの決断を歓迎した。
藤川監督の存在は、プロ10年目の進化へいい契機かもしれない。「投手出身の監督は初めて。今までにない経験ができる楽しみもある。現役時代にいろいろ教わったことが今に生きているので、それもフルに使える。持てる力を全部使って、勝ちにいきたい」と、プラスに変えるつもりだ。
残留の決め手はチーム愛だった。他球団の評価を聞きたい気持ちはあったが、地元兵庫出身。「タイガースに縁とか恩がある。甲子園のファンの中で、1人反対を向いて座って、あの景色を見る。言葉では表せない特別な景色です」。捕手として、甲子園を本拠地とする喜びをあらためてかみしめた。
今季は打撃不振に苦しんだが、グラウンド内外での働きも球団から高く評価されている。名実ともに阪神の中心選手として、さらに存在感を高めそうだ。【柏原誠】(金額は推定)
▽阪神嶌村球団本部長(坂本の残留について)「昨日も電話をして、優勝目指して頑張ろうという話をしました。本当に、ほっとしました」