ワールドシリーズ、日本シリーズが終わっても、まだ野球シーズンは続きます。9日に第3回「プレミア12」が開幕しました。世界12の国や地域が参加し、基本的に4年に1度開催される野球の国際大会。日本の強敵として最も注目すべきは米国代表です。メジャー40人枠以外の選手たちとはいえ、将来のスター候補がめじろ押しだからです。
2019年に行われた第2回大会を見ても、タナー・ホーク投手(レッドソックス)、ジェーク・クロネンワース内野手(パドレス)、アレク・ボーム三塁手(フィリーズ)、ジョー・アデル外野手(エンゼルス)、ブレント・ルーカー外野手(アスレチックス)ら、その後メジャーに上がり活躍している選手たちが大勢います。
今回も44歳の大ベテラン左腕リッチ・ヒルや、元DeNAで今季はメキシカン・リーグに所属したスペンサー・パットン投手ら、経験豊富な選手たちが出場。その一方で若手有望株、いわゆるプロスペクトも多数参戦。このベテランと期待の若手の融合が、チーム編成で最大の特徴です。
その若手有望株の中でも、最大の注目はレイズ傘下2Aのカーソン・ウイリアムズ遊撃手です。カリフォルニア州サンディエゴ出身らしくサーフィンが得意で、高校時代は父のビーチバレーチームでもプレーしたスポーツ万能選手です。2021年ドラフト1巡目指名でレイズに入団。パワフルな打撃とショートでの素晴らしい守備と強肩が持ち味で、MLB公式サイトのプロスペクトランキングでも全体4位の選手。将来は現在休職中のワンダー・フランコに代わる正遊撃手として期待されています。今年6月に米南部アラバマ州バーミングハムを訪れた時、マイナーリーグで彼が所属していたモンゴメリーの試合を観戦しました。試合前の練習中にあいさつすると、いかにもカリフォルニアボーイといった印象を受けました。既にオーラがあり、スター性を感じました。
他には昨年ドラフト1巡目指名でカブスに入団したマット・ショー二塁手。父がプロ野球選手の夢をかなえられず、その夢を息子たちに託して野球のグラウンドを完成。プロスペクトランキング全体22位と高い評価で、将来大リーガーになる日も近そうです。
22年ドラフト1巡目指名でフィリーズに入団したジャスティン・クロフォード外野手は、メジャーで15年間プレーし、オールスター4回出場、盗塁王に4度も輝いたカール・クロフォード外野手の息子。父親譲りの身体能力と俊足の持ち主で、これまた将来が楽しみな逸材です。
その他にもパイレーツ傘下のテルマー・ジョンソン二塁手、ブレーブス傘下のドレイク・ボルドウィン捕手、アスレチックス傘下のコルビー・トーマス外野手など、将来のスター候補が盛りだくさん。その中で、もう1人注目したいのが、ホワイトソックス傘下3Aのティム・エルコ一塁手です。
22年ミシシッピ大時代にカレッジワールドシリーズで彼のプレーを見て、今年6月にはマイナーリーグで彼の試合を観戦しました。試合前に話を聞くと「少年時代はエバン・ロンゴリア(元レイズ)に憧れた」という右のパワーヒッター。大学時代に右膝の大けがから復活した選手の活躍が楽しみです。
彼らがプレミア12という国際大会での経験から一段と成長し、いつかメジャーでドジャース大谷翔平投手と対戦する日が来るのを待ち望んでいます。
【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)