<全国高校サッカー選手権福島大会:学法石川0(4PK3)0帝京安積>◇2日◇準決勝◇仙台大学サッカーフィールド郡山
学法石川が帝京安積とのPK戦(4-3)を制し、2年ぶりの決勝進出を決めた。
試合を通して一進一退の攻防が続く中で、学法石川GK樋下田(ひげた)修次(3年)がビッグセーブを連発。今夏の高校総体福島王者を相手に、勝利へ導いた。これで3試合連続の無失点勝利。プレースタイルの「守り勝つサッカー」を体現した。
福島は大粒の雨が降りしきり、冷え込んだ。だが、ピッチは最後の最後まで熱を帯びていた。「待ち望んだ瞬間がきた」。無失点を貫いてきた守護神の樋下田は、PK戦に絶対的な自信があった。試合前、帝京安積の動画を視聴し、キッカーの特徴をつかんでいた。4-3で迎えた相手の5本目。「絶対に右に打ってくる」と迷いなく飛び込み、シュートを阻んだ。
延長でも決着がつかず、長かった戦いは学法石川の歓喜で幕を閉じた。「雨の影響で足元が滑って、ゴールキックがうまくいかなかった。チームに迷惑をかけていたので、なんとしても取り返したかった」。譲れない理由はもうひとつ。昨年の東北高校新人サッカー選手権の準決勝、遠野(岩手)戦でPKにもつれこんだ。両者譲らず、8-9で迎えた9本目のキッカーは樋下田。外した。「先輩を負けさせてしまったので、PK戦に懸ける思いは強いです」と、屈辱が今でも心に残っている。
歓喜の傍ら、ピッチにひとり座り込んでいたのは、帝京安積GK平山円生(2年)。樋下田とは栃木SCスクール時代の先輩後輩だ。樋下田はすかさず平山の元へ向かい、頭をなでながら言葉をかけた。「まだ来年もあるんだから頑張れよ。いいゲームをありがとう」。PK戦で敗れ、うつむいていた1年前の自分と重なった。後輩の思いも背負って戦わなければいけない。
決勝は16日、4連覇を狙う尚志と激突する。新人福島大会、高校総体福島大会と完敗した。「借りを返したいですね。決勝も無失点にこだわって戦いたいです」。三度目の正直で優勝を-。4年ぶりの大舞台への切符は、すぐそこだ。【木村有優】