横浜が生きるか死ぬかの死闘を制し、初の決勝に進出した。ホームに蔚山（韓国）を迎え延長を終えて3－2。2戦合計3－3からのPK戦に5－4と勝利した。前半39分にDF上島拓巳が退場となる不運に見舞われたが、10人になりながらも驚異的な粘りでKリーグ2連覇中の強豪を退けた。決勝（5月11日ホーム、25日アウェー）ではアルアイン（UAE）と対戦する。
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ACL史上に残る死闘を制した。120分を戦い抜いた。2戦合計3－3。勝負の行方はPK戦に委ねられた。4人目まで両者譲らず。そして5人目、GKポープが立ちはだかった。左に跳んでシュートをセーブ。そして横浜はエドゥアルドが決めた。雨中の大激戦に終止符を打った。
勝利に導いた守護神は「自分を信じて決めた方向に思い切り跳ぼうと。早い時間に退場してしまって耐える。それだけでした」。そして雨の中で応援歌を歌い、励まし続けたサポーターに感謝し「マリノスファミリーでつかみ取った勝利」と充実感をにじませた。
まさに総力戦だ。勝負師キューウェル監督の思いが通じ、歴史の扉をまた一歩こじ開けた。自身もリバプール時代、04－05年の欧州CLを制している。ACミランとの決勝に先発した。しかし前半だけで3失点、誰もがミランの優勝を疑わなかった。そこから驚異的な粘りを見せ、後半に3点を奪い返した。満身創痍（そうい）の中で延長戦、PK戦を戦い抜き勝利した。今も「イスタンブールの奇跡」と語り継がれる。
一念岩をも通す－。そんな教訓を得た。「多くの方が自分たちに目を向けることもなかった。その中であきらめないチームの姿勢は今も目に焼きついている。だからこそ“マジック”が起きた。どんな状況に立たされていても、信じてやることが大事なんだ」。あきらめずに戦い抜く姿勢こそが指導者の今につながる。
そのキューウェル監督は「選手たちが最後まで戦ってくれた。1人少ない中ですばらしい結果だった」と選手たちをたたえた。この日2得点したMF植中は「監督からは昨日ハットトリックしろと言われた。ゴールしてチームの貢献できて良かったです」。
横浜は「アタッキングフットボール」を掲げる。前線にはブラジル人トリオ、宮市らがそろう。前に人数をかける分、カウンターを受けるリスクも高まるが戦い方は変わらない。「相手よりも自分たちのサッカーを表現する。ボールを持ってゲームを支配することが大事だ」。攻め続けるキューウェル監督の進化は止まらない。「魔法使い」と呼ばれた男に率いられ、マリノスのアジア航海は最終章に突入した。【佐藤隆志】
