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無駄ない回転、巧みな腕さばき=筑波大・川村准教授が打撃分析―ヤクルト村上の衝撃(2)


 圧巻の飛距離と高い確実性はどのように生み出されているのか。ヤクルトの村上宗隆内野手の打撃フォームについて、筑波大で野球コーチング論を研究する川村卓准教授(52)=野球部監督=に分析してもらった。  川村准教授がまず指摘する特長は体の回転。「無駄がなく、シンプルな打ち方」だと言う。腰が回り出した時に肩が開かないことで、体にねじれが生まれる。  これがパワーの源となり、「捻転の動きが素晴らしい。腰の回転、肩の回転、バットの回転と順番に伝わっていく」。ただ、村上のように大きくステップを踏みながら行うのは難しく「柔軟性が効いている」とも指摘する。  腕の動きも優れる。村上のように後ろで構えてミートポイントまでの距離があると、パワーを生みやすい半面、余分な力が入ってバットの軌道が遠回りになりやすい。しかし、村上の場合は「腕を体に引き寄せて、体の近くでバットを回す。技術的に卓越している」と驚く。  高打率を残せる要因はどこにあるのか。一つは低めのボール球を見逃す選球眼。そして、広角に打てることも重要だ。逆方向への本塁打も多く「ボールを引きつける能力が高い」。  そのためには、左手でボールを「押し込む」ことが必要になる。だが、右投げ左打ちの村上にとって利き手とは逆のため「それがうまくできるのは普通のバッターとは全く違う」。「大谷選手よりも上」という内角のさばき方も併せ持ち、全方向に強い当たりが打てる。  日本選手最多の56本塁打、そして三冠王という偉業を成し遂げた村上。「ホームランバッターは20代後半くらいで出てくるのが普通。あの年齢で難しい技術を得ているのが驚異的」。22歳の打撃には巧みさが詰まっている。  ◇川村准教授の略歴  川村 卓(かわむら・たかし)札幌開成高3年時に主将として夏の甲子園出場。筑波大でも主将を務めた。大学院体育研究科(当時)修了後、北海道・浜頓別高監督を経て、01年から筑波大監督。大学日本代表コーチ。高校日本代表では佐々木朗希投手(現ロッテ)の動作解析も行った。専門は野球コーチング論。52歳。北海道出身。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕ヤクルトの村上が放った56号本塁打の連続写真=3日、神宮
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