地道に培った技きらり＝北勝富士、無傷で勝ち越し―大相撲秋場所

　派手さはなくとも、基本に忠実な取り口が北勝富士の真骨頂だ。相撲巧者の遠藤を相手にしても、「普段通りにできた人が勝てる」。地道に培ってきた技で立ち向かった。 　すぐに左を差されたが、頭をぐっと下げて振りほどく。「とにかく前に出ようと思った」。左からおっつけ、右をはずに当てれば自分の形。じわじわ圧力をかけ、最後は用心しながら寄り切った。 　ただ一人無傷で給金を直し、堂々の単独トップで折り返し。弟子には厳しく辛口の八角理事長（元横綱北勝海）も「普段から真面目にやっているから、たまにはいいでしょう」と目を細めた。 　２０２０年春場所を最後に三役の座から遠ざかる。「自分の相撲が取りにくくなるなど、思うこともたくさんある」。横綱を志して入門した元学生横綱は、もう３０歳。昨年３月には父親となり、背負うものも増えた。 　初日から７連勝した４年前の秋場所では、８日目から崩れて９勝６敗に終わった。精神面でたくましくなった今は、「一日一番、変わらずこつこつとやりたい」と言う。実直な姿勢を貫き、後半の正念場に向かう。　（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕北勝富士（右）は遠藤を寄り切りで破って８連勝。勝ち越しを決める＝１８日、東京・両国国技館